自信につながるウルグアイ戦。森保ジャパンの戦術と工夫を解剖する (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 対するホームの日本は、予定どおりパナマ戦からGKを含めた9人を変更。その試合で66分間出場した大迫勇也(ブレーメン)と南野拓実(ザルツブルク)だけが2試合連続でスタメンを飾り、全体的にフレッシュな状態でウルグアイ戦を迎えることができた。

 よって、球際で激しい攻防が繰り広げられたこの試合においては、両チームのコンディション差も影響したことを考慮して見る必要があるだろう。とくに後半は、ウルグアイは親善試合の定石どおりメンバーを次々と入れ替え、6枠を使い切っている。その過程で発生するチーム戦術の乱れも、試合内容に影響したことは否めない。

 試合の方は、開始から球際に激しくきて日本に"脅し"をかけてきたウルグアイに対し、万全の準備を整えていた日本がそれに屈することなく、1対1でも互角にやり合った。日本がスピードとコンビネーションを使ってそれをかわしたことも、この試合の最初の分かれ道になったと言えるだろう。そこは、ウルグアイ側の誤算となった。

 しかもウルグアイは、W杯とは異なる指揮官と過去2試合とも異なるメンバーで編成された新しい日本を研究する術もなく、度々守備面での甘さが垣間見られた。それを象徴していたのが、前半10分の日本の先制ゴールのシーンだ。

 この場面で、吉田麻也(サウサンプトン)のフィードを左サイドで受けた中島翔哉(ポルティモネンセ)はワンタッチでマーカーのペレイロを外し、その瞬間に斜めに走った南野に強いくさびを入れているが、ペレイロの軽い対応と、パスコースを空けてしまったトレイラの緩慢さからは、あのレベルのパスが入ってくるとは予想していなかったように見えた。

 また、南野に対応したディエゴ・ゴディン(アトレティコ・マドリード)も慎重さが欠けていた。南野のターンとその後のシュートまでの流れは称賛すべきだが、これもまた、南野を侮っていたゴディンの対応の甘さが露呈したシーンだった。

 いずれにしても、思わぬ先制点を許したことで"負けん気"に火がつくと、ウルグアイはよりアグレッシブな姿勢を見せた。そのため、以降はほとんどお互いがセットした状態でにらみ合うような時間帯はなく、トランジッション(攻守の切り替え)の多い試合展開が続くことになった。

「我々が望んだ展開ではなかった」と試合後のタバレス監督が語ったように、計7ゴールが生まれるというやや大味な試合となってしまった理由は、それらの要素が大きく影響したと言えるだろう。

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