勝因は平均171cmトリオの躍動。日本の強みを再確認したウルグアイ戦 (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Etsuo Hara/Getty Images

 これに対してパナマ戦に先発し、ゴールを決めた伊東純也(柏レイソル)は右利きだ。右利きの右ウイング。これもまた貴重といえば貴重なのだ。右利きで縦に抜いて出る技術を持った右ウイングは意外に少ない。世界を見渡してもそう多くない。

 だから、右サイドは堂安が絶対有利という感じではないが、やはり小柄ならではの利点は十分に発揮されていた。堂安に対しても、ウルグアイ選手は、リズムが合わないのか、対峙しにくそうにプレーしていた。堂安の身長は172cm。南野は174cmなので、中島、堂安、南野3人の平均は171cmになる。176cmの伊東を加えても172cm強だ。日本の小ささは際立っている。

 柔よく剛を制す。ウルグアイ戦を通して日本のよさを再確認した気がする。森保監督には、小ささの追求を怠ってほしくないものである。

 とはいえ、サッカーそのものは後半になるとバタバタになった。前の4人とその後ろの距離が大きく離れる、間延びしたサッカーになった。サイドバックと両ウイングが協力関係を築きながらサイドを活用する機会も激減した。監督がメスを入れるべき箇所は少なからず目に留まった。しかし、監督は動く機会を4度も残したまま、タイムアップの笛を聞いた。

 勝因は監督にあるのか選手にあるのかといえば、選手にあると答えたくなる勝利だった。

 監督で勝つ。番狂わせに不可欠な要素はこちらなのだが、このウルグアイ戦には、番狂わせを演じた歓びがないことも事実なのだ。余力を感じさせたウルグアイと、感じなかった日本。両国はこれから4年間、どんな成長の軌跡を描くのだろうか。目を凝らしたい。


4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る