パナマ戦から読み解くウルグアイ戦の森保ジャパンの先発メンバー (5ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi photo by Fujita Masato

 両サイドバックの位置が高くなれば、サイドバックの動きは3-4-2-1のウイングバックに近くなる。4-2-3-1という布陣で、森保監督自身が築き上げた得意の3-4-2-1のスタイルを応用し、落とし込んだ格好だ。

 ただし、当然ではあるが、そこにはメリットもあればデメリットもある。

 ひとつは、両ウイングが中間ポジションをとると、縦パスを入れる場所も中央付近に偏ってしまうため、ボールを奪われたときに危険な状態で相手のカウンターを受けてしまう点だ。幸いパナマの拙攻により縦パスをカットされてそのままカウンターを受けるシーンは少なかったが、縦パス後の中央でのプレーでボールを失い、間接的に危険なカウンターを受けるシーンは多かった。

 たとえば後半立ち上がり早々の50分。大迫のミスパスから受けた相手のカウンターの際、青山と三竿の2人が高い位置をとっていたため、最終ライン4人がボールホルダーを含めた相手5人に対峙するという危険な場面があった。原口の必死の戻りもあり、最終的にはコーナーキックに逃れたが、ボール保持型のチームが中央エリアでボールをロストした時の危険性を示した場面のひとつだった。

 また、攻撃面におけるデメリットとしては、横幅を広く使って攻めるシーンが少なくなり、得点機会となりやすいサイドからのクロスも減少してしまう傾向が挙げられる。たとえばこの試合で、日本がコーナーフラッグ付近の深いエリアからマイナス気味のクロスを入れたシーンは、佐々木翔が前半と後半にそれぞれ1回。あれだけ攻撃に絡んだ印象を受けた室屋に至っては、後半の1回のみだった。

 確かにパナマのような相手であればそれほど問題にはならないかもしれないが、同等もしくは格上の相手と戦う場合、中央に偏った攻撃だけで得点することは簡単ではないはず。サイドをいかにして制するかが勝敗を分けると考えた場合、両ウイングが外に開いたポジションをとってサイドでの優位性を確保する必要もある。

5 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る