福田正博は大島僚太を代表の中核に推す。「1本のパスで全員を動かす」

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

福田正博フォーメーション進化論

 森保一監督の初陣となったコスタリカ戦で、大島僚太を見たかったというのが正直な気持ちだ。大島はW杯ロシア大会のメンバーに選ばれながらも、1試合も出番がないまま終わったが、W杯後に再開したJリーグではずば抜けたプレーを見せているからだ。

日本代表での活躍が期待される大島僚太日本代表での活躍が期待される大島僚太 川崎フロンターレでの大島を見ていると、1トップの小林悠、中盤の中村憲剛、家長昭博、阿部浩之らと"川崎のサッカー"を共有できている。自分が顔を出してもらいたいときに周囲がパスを受けに来てくれて、リターンパスが欲しいときにボールが戻ってくるため、いいリズムをつくり出せており、彼のパス1本で味方も敵もフィールドプレーヤー全員を動かしている。そう思えるほど存在感は強烈だ。

 大島はもともと中盤でボールを捌くことに定評があって、昨季から球際で強さを出せるようになってきたが、今季はそこに加えて、ゴール前に出ていってシュートに直結するプレーでも相手に脅威を与えられるようになってきた。

 それがもっともよく表れていたのが、第21節の清水エスパルス戦だった。中盤でボールを受け、パスを出すとワンツーパスを受けようと動いたが、ボールが出てこないと判断するや、そのままゴール前に侵入。そして、ラストパスが大島の足元にピタリときてゴールを決めた。

 ただ、大島がこうしてゴール前に侵入するプレーの回数はまだ多くはない。シュートが決まる、決まらないは別にして、ペナルティーエリア近く、できればペナに入ってのシュートを1試合に2、3度見せられるようになれば、さらなる高みへ登っていけるはずだ。

 大島の最大の武器は、足元の高い技術と広い視野にある。ヴィッセル神戸のアンドレス・イニエスタと同じようにパスを受ける前の体の向きに気を配っているからこそ、彼のもとにボールが集まり、試合をコントロールできる。

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