アジア大会でリベンジを。立田悠悟にはJ1で経験を積んだ自信がある (2ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • photo by Nikkan sports/AFLO

 このとき、立田にはJ1でプレーした経験がなかった。あったのは、ルヴァンカップで3試合に出場した経験だけ。国際大会で臆せず戦うために必要な確固たる自信が、まだなかった。7ヵ月前のミックスゾーンで、立田は自身に言い聞かせるように言った。

「ここに選ばれているメンバーで、試合に絡んでいないのは自分だけ。Jリーグを経験していないとわからないことがあることを、一緒にいた人たちから感じた。Jリーグで出られれば絶対に成長できると思うので、出ることを目標にやっていきたい」

 レギュラー奪取を強く誓ってクラブに戻った立田は、清水にケガ人が続出したこともあり、本職のセンターバックではなく右サイドバックとして開幕スタメンを掴み取る。するとその後、ケガ人が復帰してきてもポジションを守り抜くのだ。

 第21節を終えた時点でJ1での出場試合数は「0」から「17」へと大きく増加した。こうして立田は、国際舞台で強敵と渡り合うために必要な、経験に裏打ちされた自信を手に入れる。

 そして、今大会のメンバーに選ばれたことで、リベンジの機会を迎えたのだ。

 ネパールとの初戦では、3バックの中央としてプレーした。

 もっとも、日本が終始押し込む展開で、見せ場といえるのは、後半35分に強烈なミドルシュートを放った場面くらい。「後ろは焦れずにやることがテーマだった」と振り返ったように、相手FWとしびれるようなマッチアップを繰り広げる場面はなかった。

 メンバーを入れ替えたパキスタン戦はピッチに足を踏み入れる機会はなかったが、90分間ただ戦況を見つめていたわけではない。8月19日に行なわれるベトナムとの第3戦に向けて、イメージを膨らませている。

「後ろの3枚がもっと起点になってもいいんじゃないかって思います。2戦目では3枚の両脇の選手がしっかり結果を残している。それが3バックの強みだと思うので、そこを生かしていきたいのと、フィードや組み立てを自分がもっとやっていかないといけないと思います」

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