2018.07.03

杉山氏、酔いしれる。全てのエンタメを
超えた「考えうる最高の敗戦」

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 本田のキックをクルトワがキャッチ。その足で加速しながら前進し、ケビン・デブライネの足元に滑らせるように転がしたボールが、その5秒と少し後、大逆転ゴールに繋がる第一歩になったのだが、何を隠そう観戦する側にも、その準備は欠けていた。被弾した選手たちを責めるわけにはいかない。

 逆転弾をぶち込まれた瞬間、何を思ったか?

 外国人記者に試合後の会見で問われた西野監督は「2-0をひっくり返されたことは、原因があるとすれば、選手ではなくそれをコントロールする立場にある自分。その采配に対してどうだったのか、と問うた」と述べた。

 交代枠は2人しか使っていなかった。柴崎岳に代え山口蛍、先制点をゲットした原口元気に代え本田を、81分に投入したに過ぎなかった。

 そのときスコアは2-2。2-1のときに1人目を代えておきたかったというのが、こちらの思いになる。そしてロスタイムに入るか入らないかのタイミングで3人目を入れるべきではなかったか。相手の焦りを誘う、半ば時間稼ぎ的な交代だ。

 厳しくいえば、問題は1度目の交代を遅い時間に2人同時で行ない、そして3人目のカードを切らなかったことにある。さらに言えば、交替で出場した、山口、本田も"はまり役"とは言えなかった。彼ら2人の名前を聞いても、変化は期待できそうになかった。交代選手に切り札がいなかったこと、バラエティがなかったことが、あえて言うなら敗因だろう。

 西野監督が3戦目のポーランド戦でスタメンを6人入れ替えて戦ったことを筆者は称賛したが、4戦目のベルギー戦では、当初の11人に回帰した。つまり、西野監督の頭の中にはレギュラーとサブが明確に区分けされていたのだ。