W杯最終予選、日本期待の「切り札」はJで躍動する小林悠 (2ページ目)

  • 原田大輔●文 text by Harada Daisuke
  • 高橋 学● photo by Takahashi Manabu

 振り返れば、小林が代表初キャップを記録したのは今から2年前、2014年10月に行なわれたキリンチャレンジカップのジャマイカ戦だった。その後も招集される機会はあったものの、度重なるケガもあって、辞退せざるを得ない不運が続いた。その結果、これまでも実力は評価されながら、代表メンバーに定着するまでには至らなかった背景がある。

 そうした状況の中で、小林はケガをしない身体作りに力を注いだ。筋トレのメニューを増やし、ヨガにも通い始めた。水分補給や食事にも気を使い、身体にいいとされるものは何でも試してきた。

 努力は如実に成果として現れている。今年に入ってから、ケガで戦列を離れることがなくなり、日本代表にもコンスタントに招集されるようになった。出場機会を増やし、3月に行なわれたW杯アジア2次予選のアフガニスタン戦で途中出場、6月のキリンカップでは第1戦のブルガリア戦で先発出場を果たし、アシストも記録した。

 代表の舞台でもようやくめぐってきた好機だったが、当時の小林はまだ、満足感よりも、焦燥感のほうが強かったという。

「(自分は)パスの出し手との感覚や呼吸が合わなければ、自らの力を最大限に発揮することはできない、と改めて思いましたね。代表は練習時間が短い。その中で、自分の特徴を理解してもらわなければいけない難しさを感じました。代表に呼ばれて周りを見たとき、一番感じたのは"自信"。プレーを見ても明らかなように、(代表選手は)みんな自信に満ち溢れていますよね」

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