アルガルベ杯惨敗。なでしこの「修正力」はW杯に間に合うか

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 チームが完全にバラけてしまったデンマークとの初戦。1-2で敗戦。控え組の奮闘でかつてないターンオーバーの成功例をたたき出した、ポルトガルとの第2戦の圧勝。波乱含みのなでしこジャパンが挑んだ、現在の女子サッカー界世界トップとも称されるフランスとの第3戦は、良くも悪くも、なでしこジャパンの現状が炙(あぶ)り出された形となった。

フランス戦でも大儀見優季へマークが厳しくついたフランス戦でも大儀見優季へマークが厳しくついた 大会前から選手たちは、フランスとの一戦に照準を合わせていたと言っても過言ではない。2012年ロンドンオリンピック直前の対戦では0-2の完敗。本大会準決勝で再び相まみえた際には、日本が2-1で勝利をおさめた。フランスはこの敗戦を忘れてはいない。

「ほぼ"恨み"に近いかもしれないですよね。実際に選手たちも言ってましたから(苦笑)」とはフランスでのプレイ経験を持つ鮫島彩(INAC神戸レオネッサ)

 現在FIFAランキングで日本を抜いて3位のフランスは、実践型で強化を図ってきているチームだ。多少の変動はあるものの、ある程度のメンバーは固定し、多くの親善試合を重ねてきた。前年まで新戦力を見出そうとしていた日本とは真逆の強化スタイルをこなしてきているのである。この試合は両者現段階でのチーム構成の熟成度が出た展開だった。

 前半は完全に日本のものだった。相手の出方を見ながらも積極的にプレスをかける日本。初戦では見失ってしまったつながりが、この日は戻ってきていた。日本の得点源であるセットプレイでも、相手DFの引き出し役として時に熊谷紗季(オリンピック・リヨン)、時に大野忍(INAC神戸レオネッサ)がポジショニングを変動させるなど、頭脳戦が繰り広げられた。

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