原博実専務理事「代表監督は常にリストアップしている」
検証ザックジャパン(7)
原博実専務理事インタビュー(後編)
ブラジルW杯で日本代表の指揮を執ったザッケローニ監督。彼を招聘したのは、日本サッカー協会の原博実専務理事(前技術委員長)である。同監督の指導、手腕については、どう評価しているのだろうか――。
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敗因は攻撃と守備のバランスが崩れたこと
――前回は本番までのチーム作りについてうかがってきましたが、今回はまず、日本代表のサッカーについて聞かせてください。日本は「攻撃サッカー」ということをうたっていましたが、ブラジルW杯における日本の戦いぶりについてどう評価していますか。
ザッケローニ監督の仕事ぶりについて語る、原博実専務理事。原「攻撃サッカー」と言っても、攻撃と守備は表裏一体ですからね。攻撃だけして、守備はしない、ということはないんです。ザッケローニ監督も、最初に重視するのは守備で、チーム作りは常に守備から取り掛かってきましたから。ただ、今大会に関して、守備はもちろんですが、攻撃に重きを置いていた、というのは事実でしょう。それまでのように、いい守備ができていれば、もっといい攻撃ができていたと思います。特に問題だったのは、左サイドの守備。相手に押し込まれて、中途半端な対応をしてしまった。結果、本来日本の武器である左サイドの攻撃力も半減していた。それが、W杯というものなのでしょうね。日本の左サイドは、対戦相手からかなり研究されていたように思います。
――攻撃と守備のバランスは明らかに悪かったですね。
原 守備に追われてしまって、攻撃のスタートポジションが悪いからなのか、ボールの動きもちょっと遅くなっていましたね。それで、ザッケローニ監督が意図する、サイドで数的優位を作る、ということもできなくなっていました。ミスが多くて、ボールの奪われ方が悪いから、相手に逆襲を食らうシーンが目立った。すべては、攻撃と守備のバランスが崩れたことが原因だと思いますね。
あとは、海外でやっている選手たちは大きな舞台に慣れていると思っていましたが、W杯になるとまた違う緊張感があったのか、予想していたよりも動きが重いように見えました。もうちょっと力を出せると思ったんですけど......。逆に、我々が心配していた長谷部誠、内田篤人、吉田麻也といった、長い間戦列を離れていた選手のほうが、思った以上にやれていた。彼らはコンディションが万全ではないという思いがあるから、自分がやれることだけをやろうと、あまり多くのことを望まずにシンプルにプレイしていた。それが、よかったのかもしれない。他の選手は、もっといいプレイをしてやろうと、多少気負っていた面があったのだと思います。
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