岡山湯郷が善戦。なでしこ杯決勝で見えたリーグ全体のレベルアップ

  • 早草紀子●文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

なでしこリーグカップ初優勝を喜ぶINAC神戸の選手たちなでしこリーグカップ初優勝を喜ぶINAC神戸の選手たち なでしこリーグ前半戦が終わる5月から始まった、なでしこリーグカップ(以下、なでしこ杯)の決勝がエディオンスタジアム広島で行なわれ、INAC神戸レオネッサが岡山湯郷ベルを3-1で下し、初優勝を手にした。

 INACといえば、"常勝チーム"で"タレント"揃いのイメージがあるが、今シーズンは大野忍、田中明日菜が移籍し、なでしこ杯予選ではケガで戦線離脱した近賀ゆかりや京川舞だけでなく、澤穂希まで故障を抱える事態に陥り、苦しみながら勝星を重ねてきた。

 しかし、初タイトルを狙うのは、決勝の相手・湯郷も同じだった。攻撃ではMF宮間あやを中心にしっかりとボールがおさまる松岡実希、有町紗央里の2トップ、切り込みが鋭い中野真奈美、横山久美の両サイドハーフらの呼吸は一戦ごとに精度が高まりつつある。さらに岡山から近い広島での決戦に気合は十分だ。

 先制したのは湯郷。前半13分、宮間のFKに有町が頭で合わせた。以降、湯郷は実に17本ものFKを掴み、ゴールを脅かし続けることになる。自由自在のキック力を持つ宮間を起点としたセットプレイは湯郷の強みの一つ。これだけのFKを得るためにはそれだけ思いきった突破や仕掛けが必要な訳で、攻撃陣は一切の躊躇なく、INACゴールを目指していた。INAC守備陣はファウルでしか凌ぐことができなかったのである。

 しかし、INACは前半30分に南山千明のゴールで追いつくと、後半20分にゴーベル・ヤネズが逆転のゴール。さらに湯郷の猛攻をかわし、ロスタイムには、前がかりになる相手の一瞬の隙を突いた川澄奈穂美が、カウンターからダメ押しの3点目を挙げ、試合を決した。

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