ブルガリア戦で見えたザッケローニ戦術の限界 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 3-4-3の4の中央で構える遠藤、長谷部もしかり。本来のポジションはど真ん中であるはずなのに、従来のポジション(守備的MF=4-2-3-1の「2」)をひきずりながらプレイしがちだ。

 よって前線の3人は孤立。ザック式「3-4」-3は、少し大袈裟に言えば7-3的な印象になる。7人で守り3人で攻める感じだ。

 さらに言えば、前線の3人が香川を中心に中央に固まる癖があるので、ピッチには先細りのデザインが描かれることになる。パスコースのベースとなるべくトライアングル(三角形)も描かれにくくなる。つまり、サッカーは非効率的で守備的なものになる。

 そして繰り返すが、これは2年前から分かっていたことだ。ザッケローニはこの間、何を考え、どこに改善点を求めようとしていたのか。さっぱり分からない。視察と称し、欧州サッカーを見て回ったらしいが、そこに欧州の今日的な匂いは微塵も感じられない。

 進歩のない3-4-3を再び見せられると、監督としての能力に疑問を覚えずにはいられなくなる。「正気ですか? 冗談はおやめください」と忠告したくなる。

 おそらく、これは選手も少なからず感じている疑問だろう。ザッケローニを戦術家として尊敬している選手がどれほどいるだろうか。疑心暗鬼になっていても不思議はない。

ザックジャパンは限界を迎えているのではないかというのが、僕の意見。ザックジャパンと言うより本田ジャパン。問題を解決する能力は、代表監督より本田圭佑のほうが勝っていると見るべきだろう。

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