【ヤングなでしこ】完敗を糧に。選手たちが誓った強くなるためになすべきこと (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko photo by Hayakusa Noriko

「狙われていたのに、私が対応しきれなかったから......」と悔しさをにじませた猶本。しかし、後半は狙われている自分が、それを逆手にとって相手ボランチの裏でボールを受けて混乱させようと上がり目にポジションを取った。このポジション取りで流れがスムーズになり、チャンスも多く生まれた。が、結局今一歩のところでゴールは生まれなかった。修正が成功したことで手応えをつかんだだけに、前半の戦いが悔やまれた。

 熾烈な戦いと移動を繰り返して国立にたどり着いたドイツ(グループリーグでは決勝で対戦するアメリカと同組だった)。ホームの地の利を活かしながら、自分たちのサッカーを存分に発揮することができていた日本。ここまで世界トップクラスとの戦いがなく、この準決勝でいきなり世界照準に合わせるのは難しかった。だが、だからこそ、シビアに勝利を求めてほしかったと思うのは、後半に可能性を見たからだ。

 本来の彼女たちの力なら、45分かからずに修正できたのではないかと思わずにはいられない。昨年のAFC U-19女子選手権では、粗削りながらメンタルの部分で負けることはなかったし、失点に惑わされることもなかった。この点だけは残念でならない。

 全カテゴリーを通じて、女子の世界大会では初めてとなるホーム開催であり、ロンドン五輪でなでしこジャパンが銀メダルを獲得した影響もあり、ヤングなでしこに注目が集まるなかでの戦いだった。選手のモチベーションは高まっていたが、自分自身の立ち位置など足元がグラついた感は否めない。

 無理もない。なでしこジャパンですら、この部分のバランスを取ることは非常に難しいのだ。それがU-20世代となれば、困惑するのも当然だ。選手たちは持ち前の明るさで乗り切ってきたものの、限界があったということだろう。

「自分たちの責任です」と号泣したのはセンターバックのふたり、木下栞と土光真代だ。「誰かの責任ではなく、みんながそれぞれできなかったんだから」と声をかけたのは田中陽子だが、守備陣にとっては、どんな慰めも今は耳には入らないに違いない。

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