【日本代表】次元の違うレベルに突入した「最強」ザックジャパンの底知れぬ野心 (3ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 さらに辛辣(しんらつ)だったのは、香川である。

「全然、そんなハイレベルなつなぎじゃなかった。それをゴール前でやっていたら別だが、中盤では(相手の)プレッシャーもなかったから、あれくらいはできて当たり前だと思う。それをペナルティーエリア内でやれないといけないし、それはできていなかった」

 確かに、ベネズエラのセサル・ファリアス監督が、「前半は前線の選手がリラックスしてプレイできていなかった」と話したように、昨年のコパ・アメリカでベスト4に進出した南米の強豪も、前半はエンジンのかかりが悪かった。ベネズエラが「より攻撃への意志が明確になった」(ファリアス監督)後半は、日本が押し込まれるシーンも多くなった。選手たちから、厳しい言葉が聞かれるのも無理はない。

 もちろん、パーフェクトな試合など滅多にあるものではないし、内容のよかった前半にしても、致命的になりかねないパスミスが数本あった。課題は残って当然だ。

 だとしても、目指すサッカーのベースとなる部分がワンランク上がっていることは間違いない。むしろ、そこでの選手たちの厳しい評価は、さらに高い理想へと視線が向けられている証拠でもある。

 先制しながら追加点を奪えず、最後は追いつかれての引き分け。結果だけを見れば、消化不良の試合だったかもしれない。それでも、この先を期待させるには十分な内容の試合だったのではないかと思う。

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