【なでしこジャパン】 サブメンバーが躍動。
ブラジルに快勝して代表枠18名の争いは最終段階へ

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko
  • photo by Hayakusa Noriko

キリンチャンレジカップ、ブラジル戦で、日本の優勝を決める4点目を決めた菅澤(写真中央)キリンチャンレジカップ、ブラジル戦で、日本の優勝を決める4点目を決めた菅澤(写真中央) 相手が万全な状態でないことは承知のうえ。けれど、狙ったサッカーを貫くことはできた。

 キリンチャレンジカップの第2戦。世界ランク4位のブラジルとの対戦は欧米のチームとの戦いが続いていたなでしこジャパンの選手たちにとって、タイプの異なるサッカーにどう反応できるか、楽しみな試合でもあった。

 しかし、ブラジルの象徴でもあるマルタは来日することができず、さらにブラジルはアメリカ戦から中1日という厳しいスケジュールもあって本来のキレを欠いた。最後は、日本がブラジルを押し切った試合となった。

 前半の立ち上がりこそバタついたが、相手のハイプレッシャーの中でも、選手たちは落ち着いて駆け引きを試みた。この日のボランチは田中明日菜と宇津木瑠美。中盤でのポゼッションがカギとなるゲームの中で、このふたりが相手との間合い、互いのバランスを最短時間で整えたことで、日本のペースに持ち込むことに成功した。

 先制点は日本。ブラジルDF裏を突く宮間あやの鋭いFKと、そこを狙うべくFW安藤梢らがうまく相手DFにプレッシャーをかけた結果の得点だった。オウンゴールではあったが、動きとしてはその後のゴールを予感させるものがあった。

 しかし、前半終了間際、田中のコントロールミスからピンチを招く。中盤でボールを奪われた田中がたまらずファウル。そこで与えたFKを決められ、ブラジルが同点に追いついた。キックの精度もコースも完璧だったとはいえ、前半ロスタイムにミスをせず守り切るしぶとさが日本には必要だろう。また、狙われるシュートコースがかなり限られていただけに、セットプレイの守備でもまだまだ改善の余地はあるはずだ。

 仙台でのアメリカ戦では、後半ミスの連続から流れを失い課題を残したが、ブラジル戦では宮間をボランチに入れることでリズムを変えた。アルガルベカップではいまいちフィットしなかった宮間のボランチだが、この日は途中から入ったFW永里優季との動きがピタリと合った。2点目、3点目はこのふたりがうまく絡んだ展開から生まれたものだった。

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