【五輪代表】 「自分たちのサッカー」は実現できたのか?マレーシア戦で見えたチームの成長と課題 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 縦にパスを入れられる扇原貴宏が交代で下がった後は、もはや足が止まって守りを固めるしかなくなったマレーシアを相手に、漫然とパスを回すことに終始してしまった感は否めない。

 常に高い位置にボールを置き、完全に相手を押し込む形で試合を進めたことは、カウンターを防ぐという意味では効果的だった。だが、リードした後にしばらく得点できずにいると攻撃が落ち着いてしまうという現象は、ホーム(鳥栖)のマレーシア戦から引き続き見られる傾向である。その点については、進歩がなかったと言わざるをえない。

 日本がマレーシアに勝利してから数時間後、勝ち点で並んでいたシリアがバーレーンに敗れたことで、再び、日本がグループ首位に立った。これで日本は、3月14日に国立競技場で行なわれるバーレーンとの最終戦で、勝つか引き分ければ、ロンドン行きが決まる。

 彼らが痛い敗戦を経て、特に精神面で確実な成長が見られたことは喜ぶべきだ。

 それでも、選手たちの多くが口にする「自分たちのサッカー」が、どれほどピッチ上で実現できていたのかは疑わしい。

「次(のバーレーン戦)はホームなのでサポーターの声援もあるし、自分たちのサッカーができると思います」

 山口蛍の言葉通り、最後のバーレーン戦ではロンドン五輪本番への期待が高まるような内容で、出場権獲得に花を添えてもらいたい。

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