【なでしこリーグ】「INAC魂」を託して。創成期からクラブを支えた米津美和の引退と涙

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko
  • photo by Hayakusa Noriko

元日の全日本選手権で優勝後、INAC神戸の選手たちは引退が決まっていた米津を胴上げ元日の全日本選手権で優勝後、INAC神戸の選手たちは引退が決まっていた米津を胴上げ

 2012年元日、INAC神戸レオネッサは全日本女子選手権を制し、シーズン2冠を達成すると同時に、クラブのひとつの時代が終わりを告げた。

 米津美和が引退を表明したのは12月23日の準々決勝終了後のことだった。

 2004年、当時まだ関西リーグを戦っていたINAC神戸に入団。2005年には、なでしこリーグL2(Lリーグ2部。現在のなでしこチャレンジリーグ)で優勝を果たす。

 神戸は、当時リーグ唯一の外国人選手であった元ブラジル代表のプレッタ(本名はデルマ・ゴンサルベス)を擁していたが、米津は、そのプレッタのスピードに呼応できる数少ない日本人選手だった。持ち前の攻撃力を活かしてゴールを量産し、チームを引っ張った。

 当時、練習グランドは小さなフットサルコートで、フルコートを使用するトレーニングは十分に行なえなかった。米津はボーリング場でアルバイトをしながらプレイしていた時代から2冠を達成した現在まで、クラブとともに歩んできた最古参選手だ。

 2005年のL1(Lリーグ1部。現在のなでしこリーグ)昇格を決めた試合で、嬉しそうにスタンドに手を振る姿が今も印象に残っている。

 米津は、2009年にはなでしこジャパンに初選出されヨーロッパ遠征のドイツ戦で初出場を果たす。が、ピッチでの米津は大緊張。そんな中でも必死にボールに食らいつく、米津らしいプレイを見せていた。


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