検索

【プロ野球】なぜ巨人は阪神を追い詰めながら勝てなかったのか 広岡達朗が見抜いた「勝負師としての決定的な差」 (2ページ目)

  • 松永多佳倫●文 text by Takarin Matsunaga

 広岡氏にとって、巨人が優勝を逃したのは必然だったのかもしれない。投打の戦力で阪神に及ばなかったうえ、勝負どころでチームを奮い立たせる指揮官の力量にも大きな差があったというわけだ。

 もっとも、今季の巨人は前代未聞の事態に見舞われた。5月25日、阿部慎之助監督が長女への暴行容疑で現行犯逮捕され、翌26日未明に釈放。同日、球団に辞任を申し入れ、受理された。シーズン途中の監督辞任という異例の事態を受け、橋上秀樹オフェンスチーフコーチが監督代行として指揮を執ることになった。

 チームが空中分解しても不思議ではない状況だったが、巨人はその後も優勝争いに踏みとどまった。結果的には76勝64敗3分の2位。突然の監督交代を考えれば、健闘したと言えるだろう。

 ただ、首位・阪神に肉薄しながらも、最後の壁を越えられなかった。広岡氏には、巨人に決定的に欠けていたのは勝負への執念だと映ったようだ。

【藤川監督が引き出した若手の才能】

 一方、阪神の強さを支えたのは、やはり投手陣だった。

「先発の?橋遥人、村上頌樹、才木浩人の3本柱が万全じゃなかったら、かなり厳しいシーズンになっていた。それに守護神の(ラファエル・)ドリスが厳しくなってきたタイミングで、工藤泰成を救援の重要な場面で起用して成功した。これは藤川監督の手腕だ。

 昨年までただ力いっぱい投げていた工藤を、コーチがうまく指導して変化球のコントロールを身につけさせたことで、よりストレートが生きるようになった。そして木下里都までもが頭角を現した。150キロを超える本格派をふたりも一軍の戦力として計算できるようになったのは、そうそうあることじゃない」

 投手育成の難しさを熟知する広岡氏が、藤川監督の手腕を評価するのは珍しい。

 一軍での実績が乏しかった工藤と木下を、わずか1シーズンで戦力へと押し上げた。もちろん、両投手の努力があってこそだが、その才能を見極め、適切な役割を与えた首脳陣の功績も見逃せない。

2 / 3

登録は簡単! チェックを入れてボタンを押すだけ 詳しくはこちら

キーワード

このページのトップに戻る