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篠塚和典が明かすイチローが使っていた「篠塚モデル」のバットの特徴と、WBCでの練習秘話 (4ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

【イチローは「同じバットマン、野球人として誇らしい」】

――篠塚さんは、世界一に輝いた第2回のWBC(2009年開催)で打撃コーチを務められ、イチローさんと同じチームでしたが、バッティングのお話はされましたか?

篠塚 普段は同じチームでないですし、まずは状態の観察からと思っていたので、最初はほとんどしなかったです。ただ、イチローがどういうルーティーンでバッターボックスに入っていくのか、バッティング練習の時にどういう感覚で打つのか、を見ていました。日本での試合(第1ラウンド)での調子はそこそこだったのですが、アメリカ(第2ラウンド)に行ってからは調子が悪くなってしまったんですよね。

 彼を見ていて感じたのは、"体のキレ"をものすごく意識しているということ。たとえば、バッティング練習でそれがわかるのですが、彼は練習ではだいたいホームランを狙います。体のキレを出すためにはしっかり振り切きることが大切なのですが、ホームランを狙うことでキレを高めているんだなと。

ガッツ(小笠原道大)やムネ(川崎宗則)、稲葉(篤紀)らとは打撃について話しましたが、イチローも最後は調子が上がって、決勝でのセンター前ヒットにつながりましたね。

――篠塚さんも体のキレを意識されていましたか?

篠塚 そうですね。僕の場合はバッティング練習をする時に逆方向から打っていきます。途中からある程度引っ張って打つようにして、最後にしっかり振り切って長打を狙いますね。意図はイチロー同様に体のキレを出すためです。

――篠塚さんは野球教室で子どもたちに教える機会が多いと思いますが、バッティングについてどんなことを教えていますか?

篠塚 上半身だけで打ってしまう子が多いんです。下半身の動きがしっかりすれば上半身もスムーズに回るのですが、今の子たちは下半身を使わずに振ってしまいがちです。野球を始めたばかりの頃は、バットにボールを当てたいという気持ちが強いでしょうし、それもわかります。ただ、その感覚でいいのは小学校の低学年くらいまでです。4年生くらいになったら、下半身を意識して使っていくことを教えるべきかなと。その後、中学、高校と野球を続けていくうえで、なるべく早い段階で下半身の動きを覚えることが大事だと思います。

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