篠塚和典が明かすイチローが使っていた「篠塚モデル」のバットの特徴と、WBCでの練習秘話 (2ページ目)
【「感覚が合うバット」とは?】
――先端が細いバットにたどり着くまで、ある程度の時間はかかりましたか?
篠塚 プロ入りした頃はそういうバットのイメージもなかったですからね。当初はバットを長く持っていたのですが、僕は体が大きくないじゃないですか。なので、当時コーチをされていた土井正三さんから「そんなに長く持ったら振れやしないし、短く持ったほうがいい」と言われていました。
あと、「篠塚みたいなタイプはグリップが太いバットを使ったほうがいいし、短く持て」と言われました。ただ、バットを短く持つと、構えた時に体が縮こまって小さくなってしまうんです。長く持つと大きく構えられるんですよ。
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――しばらくは、グリップが太いバットを使っていたんですか?
篠塚 そうです。ただ、ある日に特打をしている時、僕のバッティングを見ていておかしいと思ったんでしょうね。外野からミスター(長島茂雄氏)が走ってきて、「バットを見せてみろ」と。それでバットを見せたら、「こんなバット使えるか! 自分のバットを使え」と言われたんです。その場面には土井さんもいてミスターと僕のやりとりを見ていましたし、以降は自分のバットを使うようになりました。
――同じモデルでも、バットは1本1本微妙な違いがあると思います。感覚が合うバットはどれくらいありますか?
篠塚 手で叩いた時にボンボンといい音がしていたとしても、振った時のバランスがしっくりこなかったり、逆にあまりいい音のしないバットのほうが感覚が合って使う時もありました。手元に1ダース(12本)くらい届きますが、感覚がしっくりくるのは1本か2本です。残りの何本かは練習で使ったりしますが、練習が終われば返却してしまいました。
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