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篠塚和典が明かすイチローが使っていた「篠塚モデル」のバットの特徴と、WBCでの練習秘話 (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

――バットは湿度の高い環境に長時間置いておくと、水分を吸い込んで重たくなったりすると聞きますが、そういった部分の対策はされていましたか?

篠塚 僕らの時代はそういうことをあまり意識しなかったです。今は乾燥機に入れたりとか、いろいろありますけどね。ただ、大事にはしていましたよ。使用後はきれいに磨いていましたし、枕元に置いて寝たりしていました。

――ご自身の感覚に合うバットにしてからは、引退まで同じバットを使われていた?

篠塚 夏場に重さを少し軽くしたりすることはありましたが、バットの形状は変えませんでした。基本は930グラムで、ほかに910、915、920グラムのバットも用意していましたね。

――バッティングでスランプに陥ってしまった時の脱し方は?

篠塚 「これをやっておけばいい状態に戻る」っていう手段はなかなかないです。バッティング練習をあえてしない時もありましたし、バッティング練習の時間を短くしたこともありましたし、外野で遠投をして腕をパンパンに腫らしてバットを持った時の感覚を調整してみたり......いろいろなことを試しましたが、やっぱり練習するしかないと思いますよ。10、20打席くらいヒットが出なくなると、いい状態にはなかなか戻りません。精神的にやられちゃいますよね。

――精神的に追い込まれることがある?

篠塚 やっぱり打てない時は、マンネリ化じゃないですが、何をやっても同じになってしまうんです。なので、僕はよくウォーレン・クロマティのバットを借りたりしていました。彼のバットは僕のバットよりもグリップが細く、先っぽのほうが太いんです。持った時、振った時の感覚が全然違うバットを使ってマンネリを打破するという感じです。

 使っているといい感覚で打てるようになったりするので、クロウ(クロマティ氏の愛称)に「バットを2本くらいくれない?」と言ってもらったりもしていました。

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