高木豊がパ・リーグのドラフトを総括 清原正吾が指名漏れの理由も分析した (4ページ目)
◆西武【〇】
来季に巻き返しを図る西武は、宗山塁(内野手/明治大)、石塚裕惺(内野手/花咲徳栄高)と抽選を2度外し、高校生屈指のショート・斎藤大翔(野手/金沢高)を1位指名。2位でスラッガー候補の渡部聖弥(外野手/大阪商業大)を、4位でスケールの大きさを感じさせる林冠臣(外野手/日本経済大)を指名した。
「斎藤はすごく身体能力が高そうでバネもありますし、守備のフットワークがいいですね。ただ、守備のよさと比べると、打撃面は少し物足りないかなという印象です。1位でショートの宗山を指名し、外した後もショートの斎藤を指名したというのは、セカンドの外崎修汰を外野に動かしたからじゃないですかね。
2位の渡部は1巡目で指名されてしまうと思ったのですが、指名できたのは大きいですよ。下位チームから指名ができるウェーバー制の恩恵を受けた形ですね。今の西武では4番候補ですし、センターを守れる脚力があるうえにサードも守れることを考えても、いい補強ができたと思います。今季は佐藤龍世や山村崇嘉に4番を打たせていましたが、4番タイプではないですからね」
1位 斎藤大翔(野手/金沢高)
2位 渡部聖弥(外野手/大阪商業大)
3位 狩生聖真(投手/佐伯鶴城高)
4位 林冠臣(外野手/日本経済大)
5位 篠原響(投手/福井工大福井高)
6位 龍山暖(捕手/エナジックスポーツ高)
7位 古賀輝希(内野手/千曲川硬式野球クラブ)
【番外編】
――最後に、清原正吾(内野手/慶応大)選手が指名漏れとなった要因として考えられることは?
高木豊(以下:高木) はっきり言って、他の選手と比べて実力で劣っています。確かに素材はいいのですが、現状では飛ばす能力だけで確実性に欠ける。変化球の見極めにも課題があります。まずは打席数をもっと増やしたりして、しっかり経験値を上げてからだと思うんです。清原和博の息子がプロ入りするとなればキャンプなどにも人が来るでしょうが、話題性だけで指名したら本人もかわいそうです。
あと、あくまで僕の憶測なのですが、清原という偉大な父親がいるので「育成での指名は失礼だ」と考えた球団もあったのかもしれません。
――今季2軍のウエスタン・リーグ公式戦に新規参入したくふうハヤテや、独立リーグの四国IL香川などが獲得に乗り出していると報じられています。
高木 まだ若いですし、仮に3年間野球に専念しても25歳。体もヘタってないでしょうし、体の使い方などは中学、高校で他のスポーツをやっていたことによる利点もあるでしょう。9月28日の明治大との試合では、敗北寸前の9回2死の場面で同点ホームランを打ちましたが、ああいうことができる選手はそんなにいません。まだまだ伸びると思うので、オファーがあればそこで挑戦するのもひとつの手だと思います。
【プロフィール】
高木豊(たかぎ・ゆたか)
1958年10月22日、山口県生まれ。1980年のドラフト3位で中央大学から横浜大洋ホエールズ(現・ 横浜DeNAベイスターズ)に入団。二塁手のスタメンを勝ち取り、加藤博一、屋鋪要とともに「スーパーカートリオ」として活躍。ベストナイン3回、盗塁王1回など、数々のタイトルを受賞した。通算打率.297、1716安打、321盗塁といった記録を残して1994年に現役を引退。2004年にはアテネ五輪に臨む日本代表の守備・走塁コーチ、DeNAのヘッドコーチを2012年から2年務めるなど指導者としても活躍。そのほか、野球解説やタレントなど幅広く活動し、2018年に開設したYouTubeチャンネルも人気を博している。
■元プロ野球選手のYouTuberのパイオニア
著者プロフィール
浜田哲男 (はまだ・てつお)
千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。
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