【日本シリーズ2024】なぜDeNAは圧巻の「下剋上」を達成できたのか 前田幸長「第3戦で潮目が変わった」 (2ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva

── 一方、大貫晋一投手はどうでしたか。

前田 前回登板(シリーズ第2戦)は、3回途中4失点で降板。あの時は、大貫投手のほうが慎重になりすぎていて、今日の有原投手のようなピッチングでした。しかしこの試合はしっかりストライクゾーンに投げ込んでいたし、初回に二死三塁で山川穂高選手を空振り三振に打ち取りましたが、勝負球はストレートでした。山川選手とすれば、変化球が頭のなかにあったのか、まったく反応できていませんでした。

── 第6戦は今回の日本シリーズを象徴するような試合で、5回にDeNAが7点を奪って試合を決めました。

前田 あの流れになってしまったら、もう止められないですよね。たしかにDeNA打線はよく振れていましたが、この試合でソフトバンク投手陣は押し出しの四死球を3つも出している。DeNA打線の"圧"がすごかったこともあったかもしれませんが、ストライクゾーンで勝負できないと厳しいですよね。

【ターニングポイントは第3戦】

── それにしてもパ・リーグを圧倒したソフトバンクが、セ・リーグ3位のDeNAにこういった形で敗れるとは想像もしていませんでした。

前田 これが短期決戦の怖さなのでしょうね。DeNAは連勝するけど連敗もある波の激しいチーム。シーズン中も「ものすごく強いな」という戦いを見せる反面、「こんなに弱かった?」という時もある。それがCSあたりから強いモードに入って、そのまま突っ走った感じがします。戦うごとに選手たちが自信をつけて、この短期間で一気に成長した。三浦大輔監督にとっても、ここまで強いチームになるとは......と想像していなかったのではないでしょうか。

── 戦前の予想では「ソフトバンク圧勝」という声が多かったと思いますが、このような結果になった最大の理由は何だと思いますか。

前田 第1戦、第2戦とソフトバンクが敵地で連勝したことで、「これで決まった」という雰囲気になってしまった気がします。もちろん戦っている選手たちはそんなことを考える余裕はないと思いますが、知らず知らずのうちに周りのそうした雰囲気に流されてしまったというのはあったのではないかと......。小久保裕紀監督の「シリーズは3つ負けられる」発言も、本人はそういうつもりではなかったのかもしれませんが、今にして思えば余裕の表われだったのかもしれません。結果論と言われるかもしれませんが、2連勝したことでソフトバンクに"隙"が生じてしまった。

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