【ドラフト2024】ヤクルト再建のカギは先発投手 アマナンバーワン左腕を指名すべき! (3ページ目)
今すぐに......というわけにはいかないが、2年待ってもらえたら高校生でも早めに出てきそうな投手はいる。
茨木佑太(帝京長岡/投手/187センチ・93キロ/右投右打)は多彩な変化球に、打者の顔色を見ながら投げられる投球術に長けた好投手だ。今の球速は140キロ前半がアベレージだが、ドカンと重たいボールが低めに集まる。今は上体に頼った投球フォームも、下半身を中心に体重移動をうまく使えるようになれば、150キロ台はあっという間にクリアするだろう。ちなみに、兄の秀俊は阪神の2年目右腕。兄弟揃っての活躍も決して遠い夢ではなさそうだ。
【機動力のある外野手も補強ポイント】
今年5月、リードオフマンでセンターを守る塩見泰隆が左ヒザ前十字靭帯と半月板損傷という重傷を負って、この時ほど西川遥輝を獲っておいてよかったと安堵した関係者も多かったはずだ。西川がいなかったら、野手のほうも大ピンチだった。
昨季もケガにより51試合の出場にとどまった塩見だけに、来季すぐに本来の働きができるのか、楽観できない。ベテラン青木宣親の引退もあり、機動力の高い外野手も獲っておきたい。
高いレベルで走攻守三拍子揃う竹内翔汰(創志学園→立命館大/外野手/174センチ・83キロ/右投左打)は、大勝負に敗れて人前で悔し涙を見せる熱いハートも魅力。"塩見タイプ"の身体能力系なら、今夏の都市対抗で2打席連続本塁打を放った藤原龍之介(秋田南→上武大→SUBARU/外野手/183センチ・83キロ/右投右打)も面白い。大学時から注目していた素質が"実戦力"に変化し、50m5秒台の快足と遠投110mの強肩を生かした守備も絶品だ。
またヤクルトには、ファームに20歳前後の胸躍るような本格派の素材が見当たらない。澁谷純希(帯広農業/投手/181センチ・89キロ/左投左打)、古川遼(日本学園/投手/190センチ・78キロ/右投右打)が残っていれば、積極的に狙いたい。
澁谷は、左腕からのアベレージ140キロ前半の速球とスライダーで、今夏大会前の練習試合で強豪・北照高から20奪三振。その直後の北北海道大会の地区予選でも1試合22奪三振の快投を演じた。三振を奪える球質は、才能の証だ。
一方の古川は、素質だけで140キロ台をマークする素材型長身右腕。こういう投手は、体重が「身長−100キロ」くらいになった時の変身ぶりに期待したい。
著者プロフィール
安倍昌彦 (あべ・まさひこ)
1955年、宮城県生まれ。早稲田大学高等学院野球部から、早稲田大学でも野球部に所属。雑誌『野球小僧』で「流しのブルペンキャッチャー」としてドラフト候補投手のボールを受ける活動を始める。著書に『スカウト』(日刊スポーツ出版社)『流しのブルペンキャッチャーの旅』(白夜書房)『若者が育つということ 監督と大学野球』(日刊スポーツ出版社)など。
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