侍ジャパン入りの可能性も 広島カープ3年目・田村俊介がポスト西川龍馬へ名乗り (2ページ目)

  • 前原淳●文 text by Maehara Jun

 キャンプイン時は最後列と目されていた外野の序列が、4番手にまで評価を上げたと聞く。だが、秋山翔吾、西川、野間峻祥のレギュラー陣の壁は高く、一軍では出場機会が限られるため、開幕7戦目に二軍降格。1年目にケガでの離脱もあり十分な実戦経験を積めていなかった田村に、二軍で数多く打席に立たせる前向きな降格だったといえる。

 5月に野間の離脱によって外野の一角が抜けた時期があったが、田村も負傷離脱。7月に再昇格を果たすも、2打席無安打ですぐに二軍へと逆戻りとなった。それでも9月12日に3度目の一軍昇格を果たすと、合流即スタメン起用されたヤクルト戦で先発のサイスニードからセンター前ヒットを放ち、プロ初安打をマーク。新井監督もたくましくなって帰ってきた姿に成長を認めた。

「よかった。内容もよかった。一軍にいたのは前になるけど、最後に見た彼と久しぶりに上がってきた彼とは違う。いい雰囲気を持って、いい反応をして、いい入りをしていたと思う」

 2試合連続スタメン出場となった翌13日ヤクルト戦も快音を響かせると、代打となった14日はヤクルトのWBC日本代表左腕の高橋圭二から右中間二塁打を放った。念願の初安打から若きバットマンが見せた輝きは、シーズン終盤に主力離脱が相次いだチームの希望の光だった。

 しかし、再昇格から6戦連続安打をマークした9月17日の中日戦でアクシデントに見舞われた。2点リードの9回一死一、三塁で齋藤綱記の内角球が左手を直撃。そのまま途中交代となり、左小指中手骨骨折で翌18日には出場選手登録を抹消。打率.365のまま、田村の2年目のシーズンは終わりを告げた。

【左投手を苦にしない】

 若手が伸び悩むなか、田村の成長を球団も高く評価したのだろう。昨年の秋季キャンプメンバーに選出。秋季キャンプは例年若手が多く抜てきされるため、20歳の田村が選ばれることは決して珍しいことではない。だが、直前に行なわれるフェニックスリーグに出場していない若手が、秋季キャンプのメンバーに入るのは異例だった。

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