プロ野球の歴代内野手で「グラブさばきが」が一番うまかったのは誰か 高木豊が参考にしていた選手などを挙げた (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

【サードで起用されるかもしれなかった名捕手】

――ちなみに、高木さんご自身はどうですか? 1983年にダイヤモンドグラブ賞(現ゴールデン・グラブ賞)を二塁手部門で受賞されていますし、1987年には二塁手として当時の日本記録となる守備率.997を記録されています。

高木 篠塚さんの守備を見ているので挙げられないです。僕は堅実ではあったと思いますが、篠塚さんにはとても敵いません。篠塚さんのボールの勢いを殺すグラブさばき、ハンドリングの柔らかさはずっと参考にしていましたが、自分のものにはできなかったですから。あれは天性のもの。僕は脚力などでカバーしていただけです。

 あと、キャッチャーですが谷繁元信(横浜大洋~横浜など/捕手)はサードをやらせたら抜群にうまかったですよ。キャッチャーはずっと座っているイメージがありますが、フットワークが大事。谷繁はフットワークがよく、ピッチャーのいろいろな球を捕っているのでグラブさばきも、ハンドリングもすごくうまかったです。

 森祇晶さんが横浜の監督だった時、僕が内野守備・走塁コーチを務めていたのですが、サードがいない時があったんですよ。それで森監督に「豊、サードの候補って誰かいるか?」と聞かれた時、「やらせるんだったら、谷繁にやらせてください。キャッチャーとして使わない時には、サードとして使えますよ」と言ったんです。

――いつ、谷繁さんのサードの守備を見る機会があったのですか?

高木 谷繁が遊び感覚でサードにノックを受けにきたことがあって。サードからファーストに送球する練習をしていたんですが、送球の正確性や強さ、打球の捕り方も、少し練習すればすぐにサードができるレベルでした。コーチ会議の時にサードの候補として谷繁の名前を出したことは覚えていますし、実戦で使う寸前までいきましたね。

――谷繁さんに対して「サードを守ってもらうことがあるかもしれない」と伝えていた?

高木 いや、それを言うと気持ちがブレてしまうので、本人には言っていなかったはずです。ただ、実際の試合ではプレッシャーもありますし、使ったらどうなっていたかはわかりませんけどね。古田敦也(元ヤクルト/捕手)も絶対にサードができたと思いますよ。

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