「栗山英樹監督の勝負勘がさえていた証」村上宗隆と吉田正尚の打順入れ替えに成功 岩村明憲が指摘する準決勝の課題

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Kyodo News

 日本代表が第5回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の準々決勝でイタリア代表と対戦し、9対3で下して準決勝進出を決めた。日本は3回、6番・岡本和真の3ランなどで4点を先行。5回表に2点を返されたが、その裏、5番・村上宗隆、6番・岡本の連続タイムリーで3点を加えてリードを広げる。7回には4番・吉田正尚の本塁打などで2点を追加した。

 投げては、先発の大谷翔平が5回途中まで2失点と好投。2番手の伊藤大海をはさみ、6回から今永昇太、ダルビッシュ有、大勢とつないで逃げきった。試合のポイントについて、2006、2009年WBC日本代表でメジャーリーグでもプレーした岩村明憲氏に聞いた。

イタリア戦で2本の長打を放つなど、復調の兆しを見せた村上宗隆イタリア戦で2本の長打を放つなど、復調の兆しを見せた村上宗隆この記事に関連する写真を見る

【イタリアを圧倒した大谷翔平の気迫】

 先発した大谷選手は、普段よりもギアを1つも2つも上げた状態で挑んでいるように感じました。それだけこの試合にかける思いが強かったのだと思います。特別な気持ちがピッチングにも表れ、真っすぐ、スライダー、スプリットとどのボールも気迫がこもっていて、実際のボール以上にバッターを圧倒していた印象を受けました。

 3回の先制の場面ですが、大谷選手のセフティーバントから一気に流れが変わりました。WBCの準々決勝という負けられない戦いで、本当にしびれる状況でプレーしているからこそできたセフティーバントでした。

 イタリアはマイク・ピアッツァ監督をはじめ、とくに内野手にメジャーを経験している選手が多く、一、二塁間に内野手の人数を増やす"大谷シフト"を敷いていました。そしてこれは取ってつけたように聞こえるかもしれないですが、サードにはエンゼルスのチームメイトであるデビッド・フレッチャーが守っていた。結果的にピッチャーが捕球しましたが、相手のシフトと大谷選手の遊び心が重なった結果だったのだと思いました。

 その後、吉田選手のショートゴロで先制し、村上選手が四球で歩き、岡本選手の3ランでこの回一挙4点を奪いました。今の日本の投手陣なら、4点とれば盤石と言えるような陣容ですので、岡本選手のホームランは勝負を決めた一発といってもいいと思います。

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