斎藤佑樹が「本当にショックだった」日大三高戦。自信の投球が痛打、力不足だと認めざるを得なかった (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Nikkan sports

まさかのコールド負け

 でも、打たれてしまいました。

 たしか、あれは立ち上がりだったと思うのですが、インコースを(2番、セカンドの)中山(怜大)さんに叩きつけられて、それがサードの頭を越されるヒットになりました。アンラッキーだと思う反面、叩きつけて内野の頭を越えるワンバウンドの打球を打てるパワフルなバッティングにも驚かされました。

 その直後、(7番、ファーストの)田中洋平さんにホームランを打たれたのかな。失投と言われればそれまでかもしれませんが、僕としてはインコースにちゃんと投げきっていたんです。でも、それをうまく捌かれて......攻め方はよかったはずです。でも打たれたということは、そもそもの自分のボールに力がなかったんだということを痛感させられました。

 5回には(9番)ピッチャーの大越(遼介)さんにも3ランホームランを打たれて、0−8になってしまいます。あの3ランも、力のある高めの真っすぐを投げられたと僕は思いました。にもかかわらず、悪球打ちのような感じでバーンと打たれて、それがホームランになった。あの高めをホームランにされるんだったら、これはもう、僕の力不足なんだと認めざるを得ません。

 西東京のなかで言えば、東海大菅生や日大鶴ヶ丘は10回やったら5勝5敗、6勝4敗のイメージの相手です。でもあの時の日大三は「10回やったら10回負けるイメージしか持てない」とチームのみんなが言っていました。

 たしかに試合後は「めちゃくちゃ強いチームだな」という印象を持ちましたが、ただあの年の三高は、下馬評はそんなに高くはなかった。試合をする前の僕はたぶん、「勝てるでしょ」くらいの感じで考えていて、そんなに強い相手だとは思っていませんでした。夏の大会に入ってから、試合を重ねるごとに強くなっていったのかもしれません。

 この試合、僕は5回を投げきることさえできませんでした。2本のホームランを含む11本のヒットを打たれて、1−8のコールド負け......まさかの大敗です。僕自身は、日野台の試合と同じピッチングをしたつもりです。でも、三高には打たれた。いいピッチングをして手を尽くしたのに、やられた。僕の得意な球をちゃんと投げたのに、それを打たれて負けたんです。自分に力がないんだと思いました。

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