広島・遠藤淳志が「もったいない」から5年目に本格化。佐々岡監督も惚れ込む才能は4本柱を脅かせるか

  • 前原淳●文 text by Maehara Jun
  • photo by Koike Yoshihiro

 5月25日、広島に今季交流戦初勝利をもたらしたのは、先発6番手の遠藤淳志だった。完封目前の9回に降板し、敗戦投手となった17日の巨人戦から中7日、ロッテ打線を7回途中まで2失点に抑えた。

 開幕ローテーションを守り、ここまで(5月31日現在、以下同)3勝を手にしてもなお、23歳の右腕には危機感が募っている。

開幕からローテーション投手して奮闘している広島・遠藤淳志開幕からローテーション投手して奮闘している広島・遠藤淳志この記事に関連する写真を見る

残り2枠を実力でゲット

 今シーズン、広島の先発は充実している。エース大瀬良大地に森下暢仁、そして昨年最多勝の久里亜蓮に、昨季後半戦だけで4勝をマークした左腕の床田寛樹の4本柱が揃う。開幕まで空いていた枠は2つのみ。新人を含めた争いのなかで、遠藤は自らの力でその枠を勝ちとった。

 ただ、2月19日の巨人との練習試合からオープン戦の2試合まで10イニング連続無失点に抑えても、佐々岡真司監督から開幕ローテーションの内定はもらえなかった。

 最後まで玉村昇悟や小林樹斗、高橋昂也らと競わされ、はっきりと明言されたのは開幕まで1週間を切った3月20日だった。

 指揮官が最後まで明言しなかったのは、中継ぎの適性があることから、第2先発の役割を託すプランがあったからだろう。昨年の9回打ち切りから、今季は最長12回まで見通さなければならず、先発よりも手薄な中継ぎを強化したい考えがあった。

 先発6番手にほかの若手が割って入ってくれば、遠藤を中継ぎで起用することができる。最後まで当確ランプをともさなかったのは、不安ではなく期待の表れだったのだ。

 遠藤も遠藤なりに、指揮官からの無言のメッセージの意味を受け止めていた。

「『油断するな』ということだと思います。結果が出ていても、油断したらやられる。しっかり結果を残して、アピールしていかないといけないと思っています」

厳しさは期待の表れ

 プロ入りしてから遠藤の成長をそばで見てきたのが、佐々岡監督だった。

 基礎強化に重点を置いたプロ1年目は、二軍投手コーチとして指導を受けてきた。そして二軍投手コーチから一軍コーチへと昇格した2年目の2019年、自身も追いかけるように一軍デビュー。中継ぎとして34試合に登板。プロ初勝利も初ホールドも初セーブも記録するなど、飛躍のきっかけをつかんだ。

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