山﨑武司のスラッガー診断。2年目の佐藤輝明、同級生の清宮幸太郎・安田尚憲、悩めるホームラン王などを分析した (2ページ目)

  • 栗田シメイ●取材・文 text by Kurita Shimei
  • photo by Kyodo News

【清宮幸太郎(日本ハム)】

成績:44試合26安打6本塁打14打点、打率.228、出塁率.333

 彼のことはルーキーの時から、なんなら高校時代から気になって見ているんですが、やっぱり魅力はありますね。"飛ばす能力"は天性のもので、彼にはそれが備わっている。もし僕が指導者の立場なら、やっぱり彼はチームにほしいです。

 清宮は、バッテイングを難しく考えすぎているように映ります。もっとシンプルでいい。プロに入ったら、これができない、あれができないということは当然出てきます。ただ、それで縮こまってしまったらいけません。今年はダイエットをしてシーズンに臨みましたが、あれはいいですね。体のキレも出てくるし、ケガのリスクも減りますから、今の体型のままでいいと思います。

 技術的に気になっているのは、プロに入って引っ張りの意識が強くなりすぎたこと。ヒットゾーンの意識が90度じゃなくて、(左打者から見てライト側の)45度になることが多く、バッテイングの幅を狭めている気がします。高校時代は逆方向にも打てていたから、これは意識の問題。飛ばす力はプロでもトップクラスなわけだから、逆方向でも強い打球は飛びますよ。今シーズンは何とか20本打って飛躍の足がかりの年にしてほしい。もし清宮が成功しなかったら、指導者のせいにしていい。それくらいの素材は持っていますから。

【安田尚憲(ロッテ)】

成績:32試合24安打0本塁打3打点、打率.245、出塁率.288

 パ・リーグでは、ロッテの安田も気になりますね。安田がプロ入りした当初は、その能力の高さに驚きました。正直、同期の村上宗隆(ヤクルト)や清宮よりもはるかに上だと思っていたくらい。でも、スケールが小さくなってしまったな、という印象があります。

 ロッテの左バッターは、なぜかほとんどが角中勝也のような打ち方になっていく。膝を曲げてうまくコンタクトする、という感じですね。もちろんその打ち方も悪くないんですが、安田に求められているのはそうじゃないだろうと。フォームも、もっとドンと構えていい。村上をはじめ、最近は高卒の選手も若いうちに活躍する選手が出てきていますから、安田もそろそろ兆しを見せてもらいたいです。

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