「今のままでは高校止まりで終わってしまう」。侍ジャパンU-15の有望選手が甲子園で突きつけられた現実 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 門真ビックドリームスからは上加世田だけでなく、捕手の渡辺優斗、一塁手の岡村颯樹が敦賀気比のレギュラーとして出場していた。教え子を甲子園に導いてくれた高校に感謝しつつも、力を発揮できなかった選手にはもどかしい思いがあるようだ。橋口監督は、上加世田についてこう語った。

「笑われるかもしれないけど、もういっぺん、中学・高校に入学した時の気持ちに戻って、『12人に入る(ドラフト1位でのプロ入り)』という目標を再確認していこうやと言いたいです。今は小手先で勝負していて、スケールが小さく感じます。将来的には野手に適性があるかもしれませんけど、ピッチャーとしても大きく育ててもらっていますからね」

 どんなに打ちのめされても、季節は巡っていく。夏まで残された時間は短い。上加世田は甲子園での試合後、こんな言葉も残している。

「このままじゃ全然ダメなんで。ピッチャーにしてもバッターにしても、ずば抜けられるような。人一倍練習していきたいと思います。メンタルが弱いので、まずは気持ちから強くしていきたいです。一から頑張っていきます」

 本当に「高校止まり」の選手なのか、それとも。上加世田頼希の、野球選手としての存在価値をかけた戦いは続く。

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