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巨人の「背番号55」を受け継いだ男・秋広優人が目指すべき将来像は駒田徳広だ (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Koike Yoshihiro

「ジャイアンツは一軍から落ちてくる調整組がいつもいるからかわいそうですよ。秋広なんて、ウチのチームなら4番固定で英才教育するのに......」

 ある他球団の関係者はそう言って、巨人の環境の難しさを嘆いていた。たしかに、二軍の試合でも出場機会は減るかもしれない。ただその一方で、もってこいのお手本を間近に見ながらプレーできたことは間違いない。二軍とはいえ、中田とクリーンアップを組む経験なんてなかなかできることではない。

 今季以降につながる土台づくりという意味で、有意義な1年目を過ごして、いよいよ勝負の2年目に足を踏み入れた秋広。昨シーズンは高校時代とそれほど変わらないレベルスイングの軌道に見えたが、今季はどれだけ打球を持ち上げられるようになるのか。持ち前の長身に筋肉量を増やした体躯なら、これまで以上の雄大なアーチが見られるかもしれない。

【打てて、守れる選手へ】

 そんな秋広の未来予想図は、松井秀喜氏ではなく今季から巨人の三軍監督を務める駒田徳広氏となるだろう。

 秋広と同じように高校時代はエースで4番。18年間のプロ生活で通算.289を残し、30歳を過ぎてからもレギュラーとして毎年3割近いアベレージをコンスタントにマーク。ホームランも通算195本を放ったバットマンだ。

 191センチの大きな体を器用に使いこなし、フルスイングしなくても遠心力を生かした打球は勝手にスタンドまで届いてしまう。

 その一方で、追い込まれてからは巧みなハンドリングで難しい球をヒットする高度な技術を持ち合わせていた。長打もある一方で、なかなかアウトにならない嫌らしい打者。

 守備でも、巧みなハンドリングでゴールデンクラブ賞10回と名手としても名を馳せた。打って、守って、チームに欠かせない存在──それが現役時代の駒田氏の印象だ。

 秋広にその資質は十分にあると思っている。背番号55を継いだことでホームランに注目が集まるかもしれないが、イメージは中距離打者だ。5、6番あたりに秋広が並ぶ打線になれば......他チームにとっても脅威となるだろう。

 そのためにも、キャンプ、オープン戦で結果を残して、開幕一軍、開幕スタメンを本気で目指してほしいと思う。

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