八重樫幸雄がヤクルト優勝に「おめでとう!」。高津臣吾監督の手腕と雰囲気づくりを大絶賛 (2ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Kyodo News

【プロ20年目、石川雅規の頑張り】

――スポーツ紙での「監督コメント」は、やっぱり選手たちも気にするものですか?

八重樫 もちろん気にしますよ。広岡(達朗)さんも、野村(克也)さんも、「選手たちもこの記事を読むだろう」という前提で、マスコミを通じてメッセージを伝えることも多かったですから。でも、昔は監督コメントを読んで「コノヤロー」って反発する選手が多かったけど、最近の選手は真面目だから委縮したり、焦りになったりするんですよね。臣吾はアメリカ、韓国、台湾、独立リーグでプレーして、いろいろな経験を積んでいるのが強みだと思います。

――頑張った投手陣の中で印象的な選手は誰ですか?

八重樫 たくさんいるけど、一緒にユニフォームを着て戦った仲間ということで、石川(雅規)は印象的でしたね。例年の石川は「今日はよくても、次がダメだ」というピッチングが多かったけど、今年は防御率を見てもわかるように、安定して試合を作っています。他の先発投手が充実しているから今年は登板機会が少ないけど、それが逆に「少ないチャンスをものにしよう」「若手には負けないぞ」といいエネルギーになっている気がしますね。あとは「若手に手本を見せる」という思いが、例年以上に強いんじゃないのかな?

――今季はプロ20年目で初の開幕二軍となりました。でも、それを発奮材料として、今まで以上に心身ともに充実しているように見えます。

八重樫 もう40代になったとはいえ、石川は本当に探究心旺盛で今でもきちんと鍛え続けていると思うんです。だから、40代になったから急激に衰えるということもないと思うんだよね。そうなると、後は気持ちの問題だけ。これまでみたいに先発ローテーションの中心というわけにはいかなくても、「自分が先発する時にはきちんと試合を作る」という意識があれば、まだまだできるはず。いずれにしても、彼の場合は肉体的な問題よりも、気持ちの部分が大きいでしょう。

――他に投手陣で印象に残っている選手はいますか?

八重樫 個人的には今野(龍太)くんを応援しているんです。セットアッパーとして、彼は本当によく頑張ったし、彼がいなかったら、ここまで勝てなかったと思いますよ。

――八重樫さんと今野投手は、接点はないですよね?

八重樫 同じ宮城出身ということで、彼が楽天にいた頃に地元の野球教室で一緒になったことがあるんです。僕が仙台で、彼が岩出山でしょ。その時にあいさつされて、「頑張ってね」と言ったんですよ。真面目で、ニコニコしていて、すごくいい印象だったね。それから注目していたんだけど、楽天を自由契約になって心配していたらヤクルト入りして嬉しかった。

 きっと、臣吾が二軍監督時代に今野くんのことを見ていて「いい投手だな」って思っていたんじゃないのかな? かつて、日本ハムの城石(憲之)をトレードで獲得しましたよね。あの時も、野村監督からの要請に応えて、僕が推薦して実現したんですよ。

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