2021.10.21

元阪神スカウトが明かす原口文仁、岩崎優の獲得秘話「決め手は生活態度と極秘情報」

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Koike Yoshihiro

 毎年秋に開催されるプロ野球ドラフト会議は、「運命の日」と形容される。今年も10月11日にドラフト会議が行なわれ、128人(育成を含む)の選手が指名された。

 そんなイベントで"陰の主役"と言えるのが、各球団のスカウトだ。足繁く球場に通う彼らはどんな点に着目し、逸材を発掘しているのだろうか。2009年から阪神のスカウトを8年間務めた中尾孝義氏は、一例として捕手を獲得する際のポイントをこう明かす。

「バッティングはそんなに見ないですね。まずはキャッチャーとして、ピッチャーが投げやすい構えなのか。ピッチャーの球を捕るのはどれくらいうまいのか。それと肩。強さはあればあるほどいい。アマチュアからプロに入ってレギュラーをとるために、現在抱えている改善点は直せるものなのか、そうでないのかを見ています」

2009年のドラフトで阪神から指名を受けた原口文仁と同学年の岩崎優2009年のドラフトで阪神から指名を受けた原口文仁と同学年の岩崎優 この記事に関連する写真を見る  中日時代の1982年にセ・リーグで初めて捕手としてMVPを獲得した中尾氏は、インサイドワークと2ケタ本塁打を5シーズン記録した打撃力を持ち味としていた。1993年に現役引退後、西武や台湾球界などで指導者を歴任し、2009年阪神のスカウトに就任する。同年、初めて担当した捕手が6位で指名した原口文仁だった。

「あの子は、肩の強さはそんなになかったんです。だけど、捕ってから投げるまでの速さがあった。それと、高校の時の生活態度ですね。寄居町から始発で通って、夜遅く帰って家のケージでバットを振る。練習に対して貪欲な部分があったので、推したんです。高校の時にそれだけできる子はなかなかいません。家族も含めてね」

 寄居町は埼玉県北西部の大里郡にあり、東武東上線で池袋まで約1時間半の距離にある。原口は東京都板橋区にある帝京高校まで、約2時間かけて通学した。

 当時の帝京には寮がなく、毎朝始発で通った。終電で自宅へ帰ると、家族にボールを上げてもらってティー打撃を1時間行なう。翌朝、一番早い電車で通学した。そんな日々を繰り返すうち、ドラフト候補として注目されるようになった。