ライオンズ高橋光成、エースになるための模索。動作解析で何を手に入れた? (2ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

「フォームの再現性は、ずっとテーマとしてやってきたことです。今もシャドーピッチングを続けたり、それにフォーカスした練習を行なっています」

 近年、野球とテクノロジーの接近が急速に進んでいる。代表的なものが、トラックマンやラプソード、ホークアイという、人やボールの動きを高精度で追跡する機器だ。ハイスピードカメラにより、指からボールがリリースされる瞬間まで細かく見られるようになった。

 高橋が投球フォームの再現性を高めた裏には、こうしたテクノロジーを積極的に活用していることがある。2019年シーズンオフから動作解析のエキスパートに依頼し、ピッチングという行為を突き詰めるようになった。

「データ活用について、最初は何もわからない状態だったと思います。徐々に自分のやりたいことや、進みたい方向が少しずつクリアになってきたような印象がありますね」

 動作解析を担当するネクストベース社のアナリスト、森本崚太氏はそう語る。

 プロ野球では最新テクノロジーによるデータや数字を毛嫌いし、自身の感覚のみを頼りとする者が決して少なくない一方、感覚をデータや数字によって可視化し、レベルアップにつなげる選手も増えてきた。もともと「感覚が鈍い」と自認する高橋は、そのひとりだ。

「たとえば、フォームのどこでパワーをロスしているか。体のどこに負担がかかりやすいか。どのコースに投げれば空振りが増え、ファウルになりやすいか。そういうことを教えてもらいました」

 高橋とネクストベースを結びつけたのは、西武時代の先輩・菊池雄星(シアトル・マリナーズ)だった。高校生の頃からメジャーリーグを夢見た菊池は、トレーニングやデータ活用、さらには読書や英会話まで自身を向上させるためにアンテナを広く張り、貪欲な姿勢で飛躍した。

 菊池のそんな姿勢を高橋は間近で見て、憧れを抱き、同じ投手として参考にした。

「いろいろ教えていただきました。雄星さんのようになりたいですし、お手本です。でも、負けないような成績を残したいという気持ちもありますね」

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