セ・パ投手の「差」はどうして生まれたのか。佐藤義則が解説するその理由 (4ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Sankei Visual

「阪神の時は星野(仙一)さんが監督で、投手をしっかりつくっていこうとやっていた。優勝した2003年は井川(慶)が20勝して完投もまずまず多かった(8個)し、リリーフ陣も盤石で、戦う形がきっちりできていたので、とくに難しさもなかったし、差を感じることもなかった」

 それよりも佐藤の記憶に鮮烈に残っているのが巨人打線だという。

「あの打線は強烈だったからね、高橋由伸、松井秀喜、清原和博のクリーンアップに、江藤智や阿部慎之助が下位にいる。東京ドームは逆方向でもすぐホームランになるし、イメージとしたらパ・リーグで戦っている時と近い感覚でした。とにかく、ああいう打線は逃げたらダメ。だから、しっかり腕を振って、胸元に強いボールを投げろとよく言っていました」

 さてこの先、両リーグの力関係はどうなっていくのか。これについて佐藤は「セ・リーグ を圧倒的な強さで勝った巨人が、2年続けて日本シリーズで1勝もできないんだから。巨人はもちろん、セの他球団もいろいろ考えるでしょう」と巻き返しを期待しつつも、こう続けた。

「パ・リーグというか、ソフトバンクのレベルが高いからね。そことの比較となると時間はかかるかな。去年の日本シリーズでも、ソフトバンクの出てくるピッチャーは次から次と150キロをマークして、強い球を投げていたでしょ。全国的に知名度のないピッチャーでも平気でそういうボールを投げるんだから。あれを見せられるとねぇ......。

 そう考えると、やっぱり入り口の話になってくる。まずは選手を見る眼力、そして選手を育てるノウハウ。積み重ねてきた結果の今だろうから......。その強いソフトバンクに『どうやったら勝てるのか』と切磋琢磨しているパ・リーグの球団は鍛えられるわけで、セ・リーグがその差を埋めるのは簡単じゃないだろうね」

 いずれにしても、長い時間をかけて両リーグのカラーや力量差が出たのであれば、その差を埋めるのにも相応の時間がかかるということなのだろう。

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