小久保裕紀、サブロー、谷佳知...。「出戻り」選手たちの悲喜こもごも (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • phoho by Kyodo News

 出戻り後に思うような成績を残せずに球界を去った名選手たちもいる。走攻守で高いレベルを誇り、オリックスで一時代を築いた谷佳知もそのひとり。2013年に巨人から戦力外通告を受けたのち、古巣のオリックスが獲得を発表した。2014年は5番・レフトで開幕スタメンに名を連ねたが、打撃不振にもあって一軍出場はわずか9試合。2015年も11試合の出場にとどまり、同年限りで引退した。

 中日、オリックス、楽天、中日と渡り歩き、史上3人目となるセ・パ両リーグでの本塁打王を獲得した山﨑武司も、出戻り後は厳しい数字に終わった。2012年、中日への復帰1年目は4番・ファーストで開幕スタメンに抜擢。期待も大きかったが、シーズン終盤に左手薬指を骨折するなどの不運も重なり、90試合の出場で打率.209、1本塁打、13打点。翌年は51試合の出場でユニフォームを脱いだ。

 しかしこの2ケースは、いずれもキャリア終盤での出戻りだった。復帰が決まった当時、谷は40歳で山﨑は42歳。十分な実績を残してからの古巣での引退に、チームのファンや関係者も拍手でそのキャリアを称えた。一方で、このままキャリアを終えるわけにはいかない現役選手も。2016年11月、大田泰示、公文克彦との交換トレードで、石川慎吾と共に日本ハムから巨人に移籍した吉川光夫だ。

 2012年にリーグ2位の14勝を挙げて最優秀防御率のタイトルを獲得。パ・リーグMVPにも選出され、同年の日本ハムのリーグ優勝に大きく貢献したが、巨人に在籍してからの3年間では合計7勝と思うような結果を残せなかった。

 すると2019年6月、鍵谷陽平、藤岡貴裕との交換トレードで、宇佐見真吾と共に古巣の日本ハムに復帰したが......わずか4試合の登板で0勝3敗に終わり、今季もリリーフでの5登板のみ。まばゆい輝きを放っていた日本ハム時代には程遠い状態だ。しかし、まだ32歳で再起の可能性もゼロではない。再び一軍で活躍する姿を見せられるか。

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