年俸87%ダウンからの大逆襲。巨人・中島宏之「38歳の復活劇」を語る (3ページ目)

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • photo by Kyodo News

 シンプルに動く。昨年は苦労していたストレートに、今年はしっかり対応できている。さらに石井琢朗打撃コーチが数多くの種類のティー打撃練習を提案してくれて、あらゆるボールやコースへしっかりバットを出せるようになった。

「オープン戦の頃は引っ張ることを意識していました。だけどある日の練習で、ティーを打っていて思い出したんです。昔はこんな感じでバットを出して、これくらいの角度でボールに入れていたなと。そうしたらあそこに飛ぶなって。試合でやってみても、その感覚が出せた。自分の持っていたポイントや角度を思い出したんです。だからシーズンが始まってからは、広角にヒットが出ている。若い頃は、外だけじゃなくインコースでも『こう打てばライトに打てる』という自分のなかでの感覚がありましたから」

 まるで若手のように必死のアピールを繰り返して、ナカジは自分の居場所を勝ちとった。

巨人愛を貫いた男たちの波乱万丈>>

 成績についてはボンヤリとしか把握していない。それは昔から変わらない。

「目の前の打席をどう戦うか。だから、数字って見ないんですよね。やっぱり全部打ちたいですし、何らかの形でチームに貢献したいと思っています。でも、うまくいかない時もある。アカンなと思ったら、また考えればいいんです。そして、数字を見るのはシーズンが終わった時かな」

 セ・リーグ2連覇はもちろん、2012年以来の日本一へ。勝負強く、頼りがいのあるナカジの力が必要な場面は何度も訪れるはずだ。

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