八重樫幸雄が思うヤクルトの歴代最強左腕。石井一久と菊池雄星の比較もした (3ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi

――秋田経法大付属高校(現・明桜高校)から1988年に広島入りした後、西武の打撃投手を経て西武のスカウトになっている方ですね。

八重樫 細川亨、岸孝之もそうだし、最近では山川穂高、外崎修汰、多和田真三郎もそう。彼は富士大学との関係が強くて、いい選手を獲得しているね。僕らも必死にパイプを作ろうとアプローチをしたけど、なかなかうまく進まなかったんです。

――八重樫さんは一軍、二軍で指導者も務め、スカウトも経験しました。両方の経験を踏まえて、自分ではどちらが向いていると思いますか?

八重樫 指導者とスカウトは、似ている部分もあればまったく違う部分もあります。「選手を見る」という部分では近いものがあるけど、入団交渉や駆け引きというのはスカウトならではのものだし、そういう部分は最後まで苦手でしたね(苦笑)。もちろん、反省点も多いですよ。もっと何度も足を運びたかったし、ルールの範囲内でもっと積極的な交渉もしたかったな。ただ、球団の事情として何度も現地に行くことはできなかったり、自分の性格的にもできなかったりしました。

――正直なところ、ルール内でギリギリの駆け引きが繰り広げられるであろうスカウトの世界より、泥にまみれて若手を指導する方が八重樫さんに向いている気がします(笑)。

八重樫 そうなのかな? 自分ではわからないけど、スカウトを経験することで、アマチュア選手を多く見る機会も得られたし、今、野球教室をする際にもすごく役に立っているとは思います。スカウトはチーム強化に直結する大事な役職だから、自分なりにこの8年間は一生懸命頑張ったっていう思いはありますよ。でも、もう一度、どちらかを選べるとしたら、やっぱり指導者を選びますけどね(笑)。

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