高卒1年目でプロを見下ろす度胸。松坂大輔を支えた投球以外のすごさ (2ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Kyodo News

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 1回裏、井出は148キロのストレートで見逃し三振。小笠原にはピッチャーゴロを打たせ、落ち着いてツーアウトを取った。片岡に対しては、キレのいいスライダーでカウントを整え、最後は155キロの快速球で空振り三振に仕留めた。片岡が後ろに倒れ込んだ瞬間、東京ドームは大きなどよめきに包まれた。甲子園を沸かせた"平成の怪物"が、プロ野球の壁を軽々と飛び越えた瞬間だった。

 5回裏には、(マイカ・)フランクリンに投じた内角のボールによって、両軍が入り乱れて乱闘寸前になったが、松坂は冷静さを失うことなく、6回途中までノーヒットピッチング。8回裏には小笠原に一発を浴びたものの、8回を被安打5、9奪三振で2失点に抑えて、プロ初登板を初勝利で飾った。

 松坂はルーキーイヤーに16勝(5敗)を挙げて最多勝利のタイトルを獲得。新人王にも選ばれ、ベストナイン、コールデングラブ賞まで手に入れた。

 高卒ルーキーはなぜ1年目からプロ野球で活躍できたのか?

 要因のひとつは、投げること以外の部分がプロのレベルに達していたこと。横浜高校の小倉清一郎部長(当時)は、プロで活躍が見込めるピッチャーにはバント処理やけん制など、フィールディングの練習を課すことで知られている。デビュー戦の初回、小笠原の打球は、マウンドの右後方(ショート前)に跳ねる難しい打球だったが、松坂は下がりながら簡単に処理した。松坂は「プロ入り前から、フィールディングには自信を持っていた」と語る。

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