元ロッテ渡辺俊介が語る「野球と暴力」。鉄拳に頼らないベストな指導とは (4ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Kyodo News

「対戦型の競技は、あいまいな部分がものすごくたくさんある。『うまい選手は?』『強い選手は?』と問われても、答えはいろいろ。足が速いのと状況判断がいいのとではまた違う。『勝負強さとは?』と聞かれても、答えはひとつじゃない。暴力への耐性があるというのも、ひとつの才能と言えますよね。個性とも考えられる。高校野球もそうでしょうが、トーナメントで戦う社会人野球は一発勝負に強い選手が欲しい。強い選手をつくるためには、厳しくするのが手っ取り早いんです」

 理不尽なことを経験させることで、短期間での成長が見込める。しかし現在、日本製鉄かずさマジックで監督として選手を指導する渡辺は、そのやり方に否定的だ。

「少し前までの社会人野球では、選手にそういうことをさせるところが多かった。でも、僕はやりたくない。じゃあどうすればいいのか、その方法をずっと探しているんです」

 渡辺は、日本代表として2000年シドニーオリンピックに出場、その秋のドラフト会議で4位指名を受け、マリーンズに入団した。2004年からは、メジャーリーグで経験を積んだアメリカ人監督、ボビー・バレンタインのもとでプレーした。

「暴力をふるうことが厳しさではありません。ボビーは選手とコミュニケーションを取る監督でしたし、暴力的なことはまったくなかった。でも、とても厳しい指導者でした。彼は絶対に許さないということがはっきりしていて、その線を越えたらアウト。暴力的なことでしか厳しさを出せないとしたら、その人は指導者とは言えないんじゃないでしょうか」

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