日本ハムのオールド育成選手は野球漬けで「幸せ」だけど「嫌になる」 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kikuchi Takahiro

 なかでも存在感を放っているのは、ともに新潟アルビレックスBCから入団した長谷川凌汰、樋口龍之介の育成新人コンビである。長谷川は25歳、樋口は26歳を迎える年齢であり、育成選手の1年目でありながらすぐに結果が求められる立場でもある。

「1日も早く支配下に上がれるように、鼻息荒くやっています」

 そう語る長谷川は、2月15日の紅白戦で最速150キロを計測してアピールした。この時期に150キロが出たことについて聞くと、長谷川は「去年の今頃はバイトをしていたので、出したくても出せませんでしたからね」と笑った。

 身長188センチ、体重92キロの巨体ながら、コンパクトなテークバックで再現性の高いフォームが特徴だ。18日のブルペン投球では捕手のミットを強く叩く速球を披露しつつ、スライダーなど変化球を多く投げ込んでいた。

「変化球の精度がまだまだなので。紅白戦で一軍のピッチャーを見て、コントロールのズレが本当に小さいと感じました」

 長谷川の球歴は波乱に満ちている。福井商時代は2番手投手だったが、3年夏の甲子園初戦でエースが故障。急遽代役を務めて2勝を挙げた。ところが、進学した龍谷大でフォームを見失い、球速が一時最速120キロまで落ち込んだ。野球を断念しかけた大学4年秋にきっかけをつかみ、球速が148キロまで増速。だが、その時点で採用枠のある企業チームもなかったため、国内独立リーグ・BCリーグの門を叩いた。

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