2020.01.28

赤星憲広が「走」のイップスを体験。
「盗塁にはスランプが存在する」

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kyodo News

 ヒットエンドランの練習ということにすれば、ボール球であろうと打者はバットに当てなければならない。また、投げる側も「ボール球でもいい」と思うと、気が楽になるものだ。赤星がそう宣言したあとは、だいたい打撃投手はすばらしいストライクを投げ込んできたという。

「クリーンアップの選手なら、自分のバッティングを崩さないためにボール球を打たないのは当然です。でも、僕のようなタイプの打者ならエンドランの練習ができる。バッティングピッチャーの人にその意図は伝えていませんでしたけど、一緒にやっている仲間としてできる範囲でカバーしたいと思っていました」

 野球チームには、さまざまな選手がいるものだ。長打力が武器でも足が遅いという選手がいれば、守備がうまいのに打撃が苦手という選手もいる。ゾーンに入って神がかったパフォーマンスを見せる選手もいれば、故障で本来の力を出しきれない選手もいる。それぞれのマイナス部分を、いかにしてプラス部分で補えるか。それが野球のチームプレーというものなのかもしれない。

 送球イップスを経験した赤星の言葉には、野球という競技の本質が詰まっているように思えてならない。

(敬称略/つづく)

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