2020.01.17

5連打で0点、3連続三塁打…。
バルボンが覚えていた阪急の珍プレー

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki


 セ・パ交流戦、オリックス対広島の開始が1時間後に迫っていた。取材のタイムリミットが過ぎ、バルボンさんの写真をスタンドで撮らせてもらうことになり、一緒に応接室を出て通路を歩いた。すれ違う人たちすべてと「おはようございます」「おお、こんちわ、元気?」と挨拶を交わしていく。

スタンドで練習を見つめる、取材当時のバルボンさん

 程なくして球団事務所のエントランスに着くと、白髪の男性がエレベーターを待っていた。すぐにバルボンさんが笑顔で「ハイ、カジ!」と声をかけたその人は、通算254勝を挙げた阪急のエース、梶本隆夫だった。解説の仕事で来場したのだろう。穏やかな表情で軽くうなずいていた。

 すると、エレベーターの脇にオリックスの外国人選手たち3人が連れ立って歩いてきた。バルボンさんは「ハワユー・メン!」と声をかけ、一言二言、話をした。さらにスタンドへの階段を上がったところで2人組の婦人に「こんにちは。お久しぶりです」と声をかけられると、「おうおうおう、元気?」と笑顔で応対していた。

 球団職員やOB、選手はもちろん、ファンともごく普通に言葉を交わし、観客席の通路を進んで記者席に着けば、野球解説者に「おはようございます」。最初に挨拶したときと同じく、背筋がピンと伸びていた。今、一緒に歩いて見てきたものすべてが、来日52年目を迎えたバルボンさんの足跡なのだ、と僕は思った。

(2006年6月7日取材)

◆連載第7回を読む>>

関連記事