村上、清宮、安田は本物のスラッガーか。門田博光がこだわりの大診断 (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Koike Yoshihiro

昨年、ケガの影響もあり不本意なシーズンに終わった日本ハム・清宮幸太郎昨年、ケガの影響もあり不本意なシーズンに終わった日本ハム・清宮幸太郎清宮幸太郎(日本ハム)

 清宮については、1年目から注目して見ていました。一軍での試合を初めて見た時、まず背中の柔らかさを持っとるなというのが印象に残りました。この柔らかさがあれば強いスイングができるし、距離も出るだろうと。僕の好きなタイプのバッターやと思いました。

 ただ、そのよさが昨年はちょっと消えているかなと。あと、昨年一番気になったのは、打ちにいく時に体がフワッと浮き上がること。村上は体が沈んだまま回転に入っていくけど、清宮の場合は軸足に体重を乗せて、そこから体重を移動させていくなかで体が浮いてしまう。

 なので、伸び上がる感じでボールをとらえにいくから、インパクトで力が逃げてしまう。いい感じでとらえたと思ってもフェンス手前で失速するのはそのためです。

 清宮のスイングを見ていると、ホームランタイプというより、アベレージタイプに見える。イメージとしては、昔の田尾安志に似ているな、と。

 それと、以前は懐を深く取れていたと思うけど、その印象も変わっていた。スッと立って、その場で足を軽く上げて打ちにいっているというか、移動が小さいからバネを感じることがなくなった。

 虎が獲物を狙う時、一瞬、体を沈めてから動き出すじゃないですか。その動きが今の清宮にはないんです。やっぱり、ホームラン王よりも首位打者を狙うタイプのスイングに見えてしまいます。

 昨年、右手(有鈎骨)を骨折した影響もあるかもしれないけど、ホームランバッターを目指すなら、このままでは厳しいかもしれない。

 今の選手には危ない指導かもしれんけど、もっと重たいバットを振らせるというのも、きっかけのひとつになるんじゃないかな。重たいバットやと体全体を使わないといけないので、腰を回して打つ感じを覚える。そうすれば飛距離も伸びるし、もっと強い打球がいくはず。

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