元阪神・林威助が危惧する台湾野球。アメリカ志向と投手陣の弱体化 (4ページ目)

  • 阿佐智●文 text by Asa Satoshi
  • photo by Asa Satoshi

 だから、いま日本で話題になっている球数制限についても理解を示している。これは林個人というより、台湾球界全体として制限しているのが現状だ。アマチュアについてはわからないと前置きしたうえで、林は次のように語る。

「先発ピッチャーは100球いかないです。ファームも85~100球が目安で、一軍から指示されます。とにかくこっちは暑いですから、100球近く投げるとピッチャーはバテバテです。リリーフに関しては、25~30球ぐらいです」

 ただしクローザーの起用については、いまや日米で当たり前となっている1イニング限定ではない。

「同点にされそうな時は、8回からでも投げさせたほうがいいんじゃないですか」

 たしかに投手力の弱い台湾では、ピンチになるとどんどん投手をつぎ込まないと勝利をつかむことはできない。林は投手の向上こそ台湾野球の最大の課題だと感じている。

「選手として台湾に戻ってきた時、こっちの投手と対戦したのですがビックリしました。球速表示は145キロとか出ているのに、打席で速さを感じないんです。要するに、下半身の粘りで投げていないから、ベース付近でボールが沈むんです」

 投手陣の弱体化は、台湾では無双状態だった王柏融(ワン・ボーロン/日本ハム)の日本移籍後の成績(打率.255、3本塁打、35打点)が物語っている。

「日本はピッチャーがすごくいいじゃないですか。コントロールはいいし、球の伸びもある。先程話したバントの件も、原因はピッチャーなんです。こっちのピッチャーはランナーがいても平気でど真ん中に投げてきます。それだったらバントなんかせずに打ったほうがいいじゃないですか。でもピッチャーのレベルが上がれば、細かい野球をしないと戦えません」

 そういう意味で、侍ジャパンと行なう国際マッチは、台湾の選手にとって貴重な機会だと林は考えている。

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