キャリアハイの数字を残す荻野貴司。読めばわかるファンに愛される理由 (3ページ目)

  • 永田遼太郎●文 text by Nagata Ryotaro
  • photo by Kyodo News

 そして今年8月31日、トヨタ自動車時代の盟友である元DeNAの荒波翔が現役引退を表明した。そんな荒波について荻野は、「足は速いし、肩も強い。バッティングもいいし、本当に三拍子揃った選手」と心の底から賛辞を贈る。

「翔と初めて知り合ったのは、大学JAPANの時ですね。それからずっとつながりがあったので、プロ入り後も一緒に食事に行ったりしていました。翔はすごく頑張り屋さんで、野球に対して熱心なことも知っていました。だからこそ、寂しい気持ちがありますね」

 ケガや不振で二軍で調整を続けている時は、どちらからともなく近寄り、互いに健闘を誓った。

「ふたりとも二軍にいる時はどこか寂しい部分はあったし、翔は絶対に素質がある選手なので、こんなところにいる選手ではないと、ずっと思っていました」

 また924日には、長年ロッテを支えてきた福浦和也が引退する。そんな引退目前の福浦と、わずか10日間ほどであったが二軍で一緒に過ごすことができた。

「福浦さん自身は変わらずというか、いつも一緒の気持ちというか、準備を怠らない。それはこの10日間だけじゃなくてずっと見てきたことですから」

 福浦の引退後は、同期入団の清田育宏とともに、生え抜きの野手ではチーム最年長となる。これからはよりチームを引っ張っていく立場となる。

「僕は福浦さんみたいに偉大な選手ではないですけど......

 そう謙遜するが、看板選手であることに変わりはない。口でチームを鼓舞するタイプではないが、普段からの姿勢でチームを引っ張る。一歩ずつ、焦ることなく、無心で目標に向かって進んでいく。それが荻野の変わらぬ姿勢だ。

 現在、チームはCS(クライマックス・シリーズ)進出に向けて、熾烈な3位争いを繰り広げている。物静かなリーダー・荻野は、バッティングで、守備で、走塁で、チームを勝利へと導いていく。

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