石川雅規「全盛期はまだまだこれから」。投球術に詰まったプロの凄み (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Koike Yoshihiro

 今シーズンの石川のピッチングを見ていると、「本当に凄い」とか「だから18年もプロでやっているのか」と、ついノートに書き込むことがある。6月5日の日本ハムとの交流戦(札幌ドーム)でもそうだった。

 石川はこの試合から、プレートの踏む位置を一塁側、三塁側、真ん中と使い分けて投げ始めた。プレートの位置を変えて投げる投手はこれまで何人も見てきたが、石川はひとりの打者との対戦のなかでそれを実践していた。

「プレートの位置を変えることは、ずっと前から考えていたことなのですが、なかなか踏ん切りがつかなくて......。僕たちは同じ打者と何度も対戦します。そのなかで大事なことは、打者のタイミングを外し、打者の嫌がることをどれだけできるかなんです。僕のなかには、フォームの緩急、ボールの緩急、クイックも含めて使えるものはすべて使いたいという思いがあります。

 あの試合(日本ハム戦)は、それまでの自分のピッチングも含めて、変わらなきゃという思いがあって、試合前に青木(宣親)にそのことを話したんですよ。そしたら青木が『バッターはそれまでと見え方が違うと、やっぱり嫌ですよ』と。そこで『じゃあ、今日こそ試してみよう』となったんです」

 結果は8回を投げて3安打無失点で、チームを勝利に導いた。石川は「ある程度の結果がついてきているので、間違いではなかったと思っています」と、今も継続している。そしてこう続ける。

「マウンドから見えるバッターへのview(景色)も今までとは違ってくるので、投げる方としても難しさはあります。とはいえ、背に腹はかえられないというか、いきなりサッカーボールを蹴るわけじゃないので。まだまだほかにもあるんじゃないかと、今も打者が嫌がる投げ方を探しているところです(笑)」

 チームの正捕手である中村悠平は、その効果についてこう説明してくれた。

「打者目線からすれば、絶対に見え方は違いますよね。僕自身、ボールを受けていて、いつもと違うと感じましたから。プレートをフルに使い、さらに石川さんはいろんな球種があるので、角度であったり、奥行きであったり、打者がそれらの違いというのを感じているように見えました」

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