潮崎哲也が日本一を目前にまさか。池山隆寛の一発に「慢心があった」 (2ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi

慢心が招いた池山隆寛の決勝ホームラン

――具体的な場面について伺います。1992年第5戦、延長10回表に池山隆寛選手に決勝ホームランを打たれた場面なんですが......。

潮崎 あぁ、西武球場でのゲームですね。

――そうです。3勝1敗、あとひとつ勝てばライオンズの日本一というこの試合は、6回表終了時までスワローズが6-0でリードしていました。ところが、6回裏にライオンズが5-6と追い上げを見せ、そこで潮崎さんが登板し、7回裏にはついに同点に追いつきました。

潮崎 6点ビハインドの場面では、「今日の登板はないだろう」と思っていましたけど、追い上げを見せたときにはすぐに臨戦態勢になりました。でも、それは全然問題ないんです。むしろ、「よっしゃ、いよいよオレの出番だ」という感じで、短時間でアドレナリンが出て、いい結果に終わることのほうが多いんです。

映像を見ながら当時を振り返る潮崎氏 photo by Hasegawa Shoichi映像を見ながら当時を振り返る潮崎氏 photo by Hasegawa Shoichi

――この時点ですでに5試合目で4度目の登板ですが、それも問題はないですか?

潮崎 問題ないですね。若い時は全然疲れも感じなかったですから。この日も結構、長いイニングを投げましたよね?

――7回ワンナウトから登板し、結果的に3回2/3イニングで41球を投げています。

潮崎 あぁ、そんなに投げていましたか(笑)。9回が終わって延長戦になったときも、僕的には、まだまだ投げるつもりでした。

――そして、延長10回表、スワローズ・池山選手に決勝ホームランを打たれます。

潮崎 よく覚えています。池山さんに打たれたのは、きっちり投げていれば決して打たれなかったホームランですね。この日は長いイニングを投げていたので、「今日は調子がいいぞ」と思っていたんです。この10回表からの登板だったら、もっと繊細な注意を払っていたはず。でも、すでに3イニング以上投げていたことで、少し慢心があったからこそ浴びてしまった一発でした。

――ここに、その場面の映像があります。あらためて、解説をお願いします。

潮崎 うーん、決して甘いボールではないですね。初球の空振りを見て余計に慢心したのかもしれないです。そして2球目、池山さんに上手に(ヤマを)張られていますね。(配球を)読んだ上で、内角のボールを思い切りアウトステップしています。こうすることでインコースのボールを真ん中辺りにしてスイングしている。コース的には決して甘いボールではないけど、本来ならばもっとボール気味に投げなければいけなかった。やっぱり慢心が招いた一発だと思います。

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