2018.10.24

監督では二流もGMでは天下無双。
今も球界に色濃く残る根本陸夫の教え

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki
  • photo by Kyodo News

 さらに1993年からは福岡ダイエーホークスの監督に就任。このときも球団オーナーの中内功から信頼され、同じように実質GMとして編成面にも携わった。

 まして、中内の要望を受けて、監督を務めている最中から、巨人のスーパースターだった王貞治の招聘に動くと、95年から王ダイエーが実現。世間をあっと言わせた大胆なトレードも敢行しつつ、チームがなかなか結果を出せないなかでも根本は王を守り、99年には球団社長に昇り詰めた。

 だが、その年の4月30日、根本は急性心筋梗塞に倒れ、72歳で生涯を閉じる。それでも同年にリーグ優勝、日本一を達成したダイエーはその後、パ・リーグの雄となり、球団がソフトバンクとなった後も王は会長としてホークスを支えている。すなわちジャイアンツの王をホークスの王にした、それがGM根本陸夫の最後の大仕事だった――。

 選手として三流、監督として二流でも、GMとしては天下無双。誰も真似のできない洞察力と日本全国に広がる人脈を武器に、低迷していたカープ、ライオンズ、ホークスに変革をもたらした男。その3球団すべてのオーナーの信頼を得て、球界のみならず政財界にまで顔を利かせ、その巧みな手腕で「球界の寝業師」の異名をとった男。それだけにとどまらず、日本球界の近未来を常に考え、人づくりを生きがいにしていた男。

 それだけ大きな存在である根本陸夫の全貌は難しくとも、生前の根本と接した関係者から証言を得て、親分肌といわれた人間性をはじめ、その言動、行動、仕事ぶりを今に伝えられないか。

 そう考えた筆者は、本ウェブサイトにて2014年より『根本陸夫伝』を連載。王貞治、土井正博、衣笠祥雄、大田卓司、森繁和、石毛宏典、工藤公康、大久保博元、森脇浩司など、監督経験者や根本に薫陶を受けた野球人、さらには経営者やアマチュア野球人までインタビューを続け、2016年に単行本『根本陸夫伝 プロ野球のすべてを知っていた男』を刊行。2018年には、新たな証言も加えて文庫版を上梓した。より多くの方に、根本陸夫の存在を感じていただきたい。

文庫版『根本陸夫伝』出版記念イベントのお知らせ

2018年11月16日(金)、都内で文庫版『根本陸夫伝』出版記念イベントが開催されます。
当日は特別ゲストに[必殺仕事人]大田卓司さん(元西鉄、太平洋クラブ・クラウンライター、西武)をお迎えして、愛弟子から見た根本陸夫像を存分に語っていただきます。そのほか、根本陸夫の足跡と功績がわかる野球講座も行います。

日時:2018年11月16日(金) 18時30分開場。19時開演

会場:「Creator’s District 神保町」
(東京都千代田区神田小川町3-6-8 伸幸ビル4階)
・神保町駅:A5出口から徒歩4分
・小川町駅:B5出口から徒歩4分
・新御茶ノ水駅:B5出口から徒歩4分
・御茶ノ水駅:御茶ノ水橋口から徒歩6分

出演:
・大田卓司(根本陸夫愛弟子のプロ野球解説者。西鉄、太平洋クラブ・クラウンライター、西武OB。1986年オフに引退後はフジテレビ、文化放送で解説者。ダイエーでは打撃コーチとスカウト、ヤクルトスワローズで打撃コーチを歴任)
・高橋安幸(ノンフィクション作家。『根本陸夫伝』著者)
・プロ空頭(魅惑の社会人野球)
・鍋田修彦(野球ファンネット)

入場券:前売券2,200円、当日券2,700円
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