巨人がドラ1で狙うべきは金足農・吉田より「ミスター・コンスタント」 (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Kyodo News

 また、角度がないのもプロでは厳しいのでは......と考えていた。たとえば、疲れがたまっていても角度があればなんとかしのげるのだが、吉田は上背がなくボールのキレで勝負するタイプ。本来のボールがいかなくなると、やはり苦しい。夏の甲子園決勝で大阪桐蔭に粉砕された姿などは、まさにその典型だと思う。

 だからプロに行くのは、もっといろんな引き出しを身につけてからでもいいんじゃないかと......。

 そんな時に突然スポーツ紙の一面に踊った「吉田、巨人にラブコール」の活字。好きな球団を聞かれた吉田が「巨人が好きです。行きたいです」と言ったことが原因だった。およそ1カ月ぶりに戻った故郷で、ホッと緊張が解けた拍子についポロッと口から出てしまっただけなのだろう。しかし、求愛された巨人の方が微妙な立場になってくる。

「巨人、吉田輝星指名へ!」

 甲子園のスターからの逆指名に、巨人もすぐさま反応を見せたが、ここにきて大阪桐蔭の根尾昂を1位で指名するのでは......といった報道も出ており、さらに吉田自身も昨日の会見で「12球団どこでもOK」の姿勢を示している。

 ただひとつ言えることは、今の巨人が本当に必要としているのは「吉田なのか?」ということだ。

 4年続けてリーグ優勝を逃し、その3年間で指揮を執った高橋由伸監督が今シーズン限りで辞任。来季から原辰徳監督が復帰すると発表された。巨人というのはいつも勝たなくてはならない存在である。チームにとっても、原監督にとっても、来季はなにがなんでも勝ちたいシーズンのはずだ。

 ならば、球団の本音は"高校生"ではない。外野陣も手薄になってきているが、それ以上に先発できる投手がほしい。

 今年のドラフト候補を見渡すと、即戦力投手は何人かいる。そのなかでも1年目から10勝ぐらいやってのけそうな投手が、日体大の松本航だ。

「この投手なら間違いありません!」

 もし私がスカウトで、ドラフト直前の会議で「誰なら役に立つんだ」と聞かれたら、真っ先に挙げたい選手がこの松本である。

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